ちまたでは、緊急事態宣言下でも営業を継続したお店や、従業員を休業させているにもかかわらず十分な休業手当を払わなかった企業、それどころか先行きが見えないとして全従業員を解雇した会社などが批判にさらされていたが、売上の大幅減という苦境の中、ワタミでは休業している店舗のアルバイト従業員に関して休業手当をきちんと支払っている。
また同社社長の清水邦晃氏をはじめとして、複数の執行役員もアルバイト従業員出身であり、毎年アルバイト従業員から多くの社員を採用している。社員登用実績はこれまで数百名にものぼっており、ワタミが本当に元記事の指摘するような「非正規差別」がある会社なら、到底そんなことは起こり得ないだろう。ワタミ側も特にこの件については「非正規差別という表現は強く否定いたします」と強い口調で反論している。
やはり、一時は「ブラック企業」としてさまざまな批判にさらされたことで、ワタミに対しては依然として厳しい視線が注がれているようだ。しかし、今回の取材を通して積極的な業態転換とその調子のよさが分かったとともに、特に非正規差別をしているわけではないことも明らかになった。コロナ禍が収まらない今、居酒屋業態の新たな挑戦として今後も同社の動きをウォッチしていきたい。
働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役/ブラック企業アナリスト
早稲田大学卒業後、複数の上場企業で事業企画、営業管理職、コンサルタント、人事採用担当職などを歴任。2007年、働き方改革総合研究所株式会社設立。労働環境改善による企業価値向上のコンサルティングと、ブラック企業/ブラック社員関連のトラブル解決を手掛ける。またTV、新聞など各種メディアでもコメント。著書に「ワタミの失敗〜『善意の会社』がブラック企業と呼ばれた構造」(KADOKAWA)他多数。
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