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» 2021年02月19日 07時00分 公開

「THE MODEL」型営業組織の落とし穴 「自社にあったTHE MODELを作る」が失敗しがちな理由“顧客との付き合い方”のデザイン法(1)(1/2 ページ)

法人向けの営業・マーケティング部隊の体制を作る時、「THE MODEL」を参考にする企業は多い。「営業部隊をマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの4部署に分けて運営する体制」というのが一般に認知されているTHE MODELの解釈だが、筆者はTHE MODELを通して事業運営のリーダーが理解すべきポイントは別にあると考えている。

[礒野亘(ビービット),ITmedia]

 法人向けの営業・マーケティング部隊の体制を作る時、「THE MODEL」を参考にする企業は多い。THE MODELとはセールスフォース・ドットコムの日本法人で福田康隆氏を中心に実践された組織戦略・運営のフレームワークの名称だ。2019年に発売された同氏の書籍『THE MODEL』(翔泳社)により、SaaS企業を中心に一気に認知度が高まった。

 「営業部隊をマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの4部署に分けて運営する体制」というのが一般に認知されているTHE MODELの解釈だ。この体制をそのまま取り入れようとする企業や、少しアレンジをして「自社にあったTHE MODELを作ろう」と考える企業は多い。

 しかし、筆者はTHE MODELを通して事業運営のリーダーが理解すべきポイントは別にあると考えている。なぜなら「社内の組織体制を作ること」自体は目的たり得ないからだ。

 本記事ではTHE MODELの解釈を中心に、営業・マーケティング部隊の組織を改善して事業を成長させるために必要な考え方を紹介する。

画像はイメージです(ゲッティイメージズ)

「営業部隊を4部署に分けて運営する体制」が生まれた背景

 「営業部隊を4部署に分けて運営する体制」が生まれた背景を簡単に振り返る。この体制が登場した背景の一つがサブスクリプション型サービスの台頭だ。

 サブスクリプション型とは、サービスの利用期間にわたって一定の金額を払い続けるサービス体系のことで、初期費用および解約コストの両方が低いのが最大の特徴だ。「始めやすく辞めやすい」ので、サービス利用者側にとってのメリットは大きい。

 その市場規模は19年で6839億円、さらに24年には1兆2117億円と約1.8倍になると予測されている(矢野経済研究所「2020 サブスクリプションサービスの実態と展望」)。

 代表的なサービスに、法人向けであればSalesforceやSansan、個人向けであればSpotifyやNetflixなどがある。

 サブスクリプション型サービスを提供する場合、事業者側では投資回収期間が長期化する。顧客が契約を更新し、ある程度継続利用することを前提としているため、初回契約だけで解約してしまうと赤字になることも多い。そのため、いかに解約を防いで継続利用をしてもらうかが、経営課題となる。

 この背景から生まれたのがカスタマーサクセスだ。従来、契約後は営業のフォローと問い合わせへの受動的サポートが一般的だったが、積極的に利用継続を促す活動が必要になってきた。そこで契約の獲得が主軸任務である営業とは別に、能動的に顧客のサービス利用を促す専門チームが立ち上がり、カスタマーサクセスと呼称されるようになったのだ。

 サブスクリプション型の普及は、契約後のサポートだけではなく営業フローにも影響を与えた。

 始めやすく辞めやすい形式のため、問い合わせの数が多くなった。またオンラインでの情報収集が普及したことにより、顧客が営業担当と直接やりとりをしないで検討する機会が増加・長期化している。

 そのためマーケティングや営業の役割の他に、大量のリード(顧客情報)を効率的に見極め、かつ長期的に顧客とコミュニケーションをとるチームが必要となり、それがインサイドセールスと呼称されるようになった。

 以上の背景からマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス(=従来の営業の分業化)、カスタマーサクセスという4チームで事業運営するスタイルが生まれた。今では職種ごとの求人も増え、各領域のイベントが実施されるなど、専門性の高い情報交換の場が生まれている。

「自社にあったTHE MODELを作る」という発想の落とし穴

 THE MODELの書籍と、そこに書かれたフレームワークが広く知られたことで、営業部隊を4部署に分けて運営する体制をそのまま自社で導入しようとする企業が増えている。しかし、書籍で展開されている体制や施策をそのまま自社にあてはめてもうまくいかないことが多い。なぜなら企業ごとに提供サービスや対象とする顧客、何より自社内の組織文化が異なっているため、各社で目指すべき、あるいは目指しうる理想像がそもそも違うからだ。

 そういった流れを受けて今度は「自社にあったTHE MODELを作ろう」というスローガンが掲げられることが増えてきた。書籍の体制をそのまま取り入れるのではなく、自社にあったカスタマイズを行おうという転換だ。それ自体はとても好ましい変化だろう。ただし、言葉の意味そのままのスローガンでは、ある重大な観点を見落としがちになる。それは「社内の組織体制を作ること」自体は目的たり得ないということだ。

 チームを立ち上げることが目的化してしまったり、チームの型と業務から入ってしまうことで負担ばかりが大きくなったりする場合も多い。例えば「取りあえず今までカスタマーサポートだった部署をカスタマーサクセスという名前に変えました。何をやるかはこれから考えます」というような立ち上げ先行型の企業を目にすることは少なくない。

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