1年でユーザー数4倍に! eスポーツプレイヤーを育成する「ゲーマーズクラス」の戦略デンマーク発(4/5 ページ)

» 2021年02月26日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

コミュニティを通じて「孤独」の課題にアプローチ

 動画レッスンと同様に彼らが注力しているのが、コミュニティの運営。ゲーマーに特化したボイスチャットツール「Discord(ディスコード)」を通じ、有料会員のプレイヤー同士が交流できる場所を提供している。特に初期段階はこのコミュニティ機能が大きな役割を果たしたという。

 「事業を拡大するにあたり、どのようなコース、レッスンを提供するべきかについて、コミュニティー内で多くの質問を投げかけました。そして、返ってきたユーザーからの声に基づいて私たちはレッスンを形作ってきました。今では数千人規模のコミュニティーに成長し、ここでの交流もユーザーにとって、サービスを利用する魅力のひとつになっていると思います」(Rosbech氏)

 続いて、Rosbech氏は業界内で問題視されているeスポーツプレイヤーのメンタルヘルスの課題についても触れた。

 「昨年、私たちがレッスンを提供するCounter-Strikeの世界最高チームAstrological(アストロジカル)は、精神的ストレスが原因ですべてのトーナメントから撤退しました。業界でプロを目指すようになると1日12時間、週6日など長期間ゲーム漬けになり、過度のストレスを抱えたり、燃え尽き症候群に陥ったりするプレイヤーが少なくありません」(Rosbech氏)

ストレスを抱えやすいeスポーツの世界。パンデミックにより、それが顕著になったのかもしれない

 海外メディアでは、ゲーマーのメンタルヘルスについて警告するような記事も見られ、eスポーツのプロプレイヤーもSNSなどを通じて、適切なバランスでプレーするよう呼びかけている。

 「ゲームプレイヤーの中には、孤独感を強く持っている人がいます。うつ病や自殺の大きな原因となる孤独を避けるには、コミュニティーの存在が欠かせません。私たちはプレイヤーのスキルアップのみならず、業界のメンタルヘルスの課題に立ち向かい克服へ導きたいと考えています」(Rosbech氏)

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