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ニューノーマルの「オフィス必要論」 コクヨが新オフィスにつくった“6つの機能”アフターコロナ 仕事はこう変わる(3/3 ページ)

» 2021年03月03日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]
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働く場としてオフィスを“選ぶ”理由

 このような機能別のフロアを設置したのは、「今後オフィスに残る機能は何か」を突き詰めて検討した結果だという。在宅勤務ができる体制を整えることが求められるようになった今、「オフィスに必要なのは“ここでしかできない体験”」(佐藤氏)。働く場として選ぶ“意味”があるオフィスを用意することが、働きやすい環境づくりには必要だ。

仕事の効率を高める環境を整えやすい

 その体験とは、大きく分けて3つある。まず、外では難しい、専門性の高い作業や効率的な仕事ができることだ。オフィスであれば、インターネット環境や高機能なオフィス備品など、仕事に集中するための環境を整えやすい。2つ目が、個人と組織をつなぐコミュニケーション。企業としての文化を形成し、社員のエンゲージメントを高めることが、創造性や生産性の向上にもつながるという考え方だ。そして3つ目は、生活や仕事のリズムを整えたり、環境を変えることで気分転換をしたりと、心身を整えること。出社によりオン・オフを切り替えたり、オフィスで誰かと交流したりすることが心身の安定につながることは多い。

 このように、オフィスでこそ実現しやすい体験はまだ多くある。それを踏まえて、佐藤氏は「『アウトプットを高めるために場を選ぶ』ことと『インプットを得るために交流する』こと。それがこれからのオフィスに求められる役割では」と話す。毎日出社して業務や会議をする場、という位置付けよりも、「働く人が主体的に選ぶ場」として機能することが求められるようになっている。

業務や働き方に応じた機能を持つオフィスへ(コクヨのエントランス)

 企業が必要に応じてオフィスを縮小する動きは今後も増えていくだろう。しかし、ただ座席数を減らすだけではなく、自社にとって最大限活用できる空間を作り込んでいくことが必要になる。社員数に合わせてオフィスの広さを決める考え方とは異なり、社員全員分の力を発揮できる場をつくる方法を考える。その意味では、オフィスの大きさや形態、使い方の幅は広がっているといえる。

 一方、コクヨに相談を寄せる企業の中には、現在も社員が自宅でPC作業をできる体制が整っておらず、在宅勤務では生産性が落ちてしまうといったケースもあるという。オフィス勤務を基本としていても、非常時などにはテレワークへの対応も必要となる。どこから手を付けていいのか分からない、という企業もまだ多いだろう。いざというときに企業活動を維持するための環境を整える、という意味でも、社員が柔軟に、主体的に働けるオフィスを検討することが必要だ。

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