社員が働く場であるオフィス部分のリニューアルは20年12月に完成し、運用を始めている。実際に、どのような働き方を実践しているのか。南館の4〜9階に当たるオフィスは、フロアごとにそれぞれ別の機能を持っている。「企む」「集う」「試す」「遊ぶ」「整う」「捗る」がフロアごとのコンセプトだ。
その全フロアの家具には、社員の位置情報とエリアごとの人数を可視化するため、約500枚のビーコンを取り付けた。密集状況を一目で把握できるようになっている。事前に予約ができる座席や会議室も用意しており、密を避けながら働く場所を決められる仕組みにした。
ただ、どこのフロアで働くかということは、密集状況を参考にするだけでなく、その日の業務内容や気分で決める。フロアによって、雰囲気や使用できる設備の種類が異なるからだ。どのようなフロアを用意しているのか。
9階の「企む」フロアは、プロジェクトルームやボードルームを備え、機密性の高い会議などに適した機能がある。中央にはラウンジもあり、交流もできる。全体的に落ち着いた雰囲気のフロアだ。
一方、8階の「集う」フロアは部署などのミーティングをしやすいエリア。ミーティングスペースにはカーテンの仕切りと動かせる家具があり、人数や用途に応じてスペースの広さを変えることもできる。また、Web会議用のボックス型の個室のほか、1on1ミーティングなどに使える2人用の個室も備える。2人用の個室は、対面する両者の間をガラスで仕切ることができ、感染対策をしながら対話できるようになっている。「社員からの人気が高い設備」(佐藤氏)だという。取材時には、社員が思い思いの場所で作業をしたり、広めの打ち合わせスペースを作って何人かで働いたりする様子がみられた。
7階は、専門性の高い業務を行う「試す」フロア。商品開発や試作に必要な作業台やサンプル、資料をそろえる。例えば、オフィスチェアに使用する生地のサンプルなどが並べられていた。プロトタイピングに特化した機能を持つエリアだ。
6階は「遊ぶ」フロア。オープンな座席のほか、ステージやキッチンを設置しており、イベントなどを通じてコミュニケーションを活性化させる機能を持っている。「さまざまな交流によって、仕事以外でもインプットを得られる場」(佐藤氏)を目指したという。
5階は、総務部門やバックサポートの社員が常駐する「整う」フロア。コンシェルジュカウンターがあり、郵便物の受け取りや備品調達、荷物を預けるロッカーの利用などができる。仕事に向かう準備を整える機能をそろえる。
そして、作業に集中するための空間が、4階の「捗る」フロアだ。随所に、他のフロアにはないハイスペックなデスクやモニターなどを設置。ウルトラワイドモニターやトリプルモニターを設置した座席のほか、同社製品の上下昇降デスクや、座面が揺れる高機能チェア「ing(イング)」、天板が傾斜するデスク「UPTIS(アプティス)」などを備えた座席がある。在宅勤務では用意するのが難しい快適な作業環境だ。モニターを使いこなし、作業に没頭している社員の姿があった。
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