崩れる金融事業モデル、その先にあるもの 〜JAMP大原氏に聞く(1/4 ページ)

» 2021年03月16日 08時32分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 金融業界が大きな変換期を迎えている。地銀においては長引く低金利、地方の衰退などもあり多くが赤字化した。足元は株高で堅調にみえる証券業界も、手数料無料化の流れは着々と進んでおり、いずれもこれまで利益を上げてきた事業モデルが崩れつつある。

 ではそれぞれの金融機関には、どのような選択肢があって、どんなチャンスがあるのだろうか。マネックス・セゾン・バンガード投資顧問の社長を務め、現在は日本資産運用基盤グループ(JAMP)を創業した大原啓一社長に聞いた。

日本資産運用基盤グループ(JAMP)の大原啓一社長

――金融業界がおかれた現状について、どのように見ていますか。

 金融業界は大きな変換期、端境期にあります。地域金融機関、証券、資産運用、決済、暗号資産においてもそうです。非金融事業者の参入などもあります。今までの金融業界の事業モデルをイメージして飛び込む人が多いと思いますが、2021年、22年と業界が相当大きく変わるので、動きを見極めていかなくてはなりません。

 身近なところでいうと、地域金融機関、そして証券、資産運用業界の変化が著しいですね。後者は米ロビンフッドの動きもあって、改めて注目を集めています。

 21年度4月からの動きでは、ビジネス面での動きのほかに当局の規制関係もあります。地銀の再編を後押しするような政府と日銀の動きがスタートしていて、地銀はあと2〜3年で再編や異業種連携など、中期的な方向性を決めなくてはならない状況にあります。さらに、新しい事業モデルを作れという当局からのプレッシャーもあります。

 同様のことは、証券リテール業界にもあります。1月15日に公開された「顧客本位の業務運営に関する原則」の改定、そして秋に予定されている金融サービス仲介法制が大きく影響してくるのです。双方の領域で新しい事業モデルが出てくる、記念すべきタイミングです。

 それぞれに共通しているのは、これまでお金を稼いできた事業モデルが全くもうからなくなってきていることです。

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