餃子の王将、コロナ禍で店外売り上げが急増 「自社配達」か「ウーバー」か問題を考える飲食店を科学する(5/5 ページ)

» 2021年03月30日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]
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餃子の王将が打ち出す人材育成戦略

 2021年になってから、当社に寄せられるご相談で最も件数が多いのは「長引くコロナ禍で、スタッフのモチベーションが落ちてしまった」です。モチベーションの低下は、店舗のQSCレベル(商品力、接客力、衛生力)低下に直結します。緊急事態宣言が明け、お客さまが来店されても、QSCレベルが低いと再来店につながりません。経営者は、今後の自社の方向性を明確に示するとともに、労働環境の改善やQSCレベルを高めるための従業員育成に力をいれていかなければなりません。コロナ禍において、こうした取り組みは後回しにされがちですが、実は最も重要なことです。

 当社のご支援先でも、会社の目指す方向性をスタッフに明確に伝え、スタッフ教育などを通じたコミュニケーションを絶えず行い、過去最高の売り上げを達成している店舗が複数あります。

 餃子の王将では、コロナ禍の中においても調理技術を継承する「王将調理道場」をリモートなどで実施。さらに、店舗運営や人材管理に関するマネジメントスキル、実践的な知識の習得を目的とした「王将大学」などの研修にも力を入れています。

 こうした取り組みを通して、「売り上げ対策」「店舗環境整備」「人件費コントロール」といったように、本社からの細かい指示が無くても、店舗毎に主体的な改善を行う風土を構築してきました。また、早期業績回復の大きな原動力にもなっています。実際にこうした取り組みが生産性向上に大きく寄与し、好業績につながったのです。

 コロナ禍が長引き、なかなか先が見えない状況ではあります。しかし、自社の方向性をスタッフに明確に示し、その方向性に向けた社内改革をスピーディーに実行していく経営力が今こそ求められています。

 最後までお読み頂きありがとうございます。

 少しでも皆さまのご参考になれば幸いです。

著者プロフィール

三ツ井創太郎

株式会社スリーウェルマネジメント代表。数多くのテレビでのコメンテーターや新聞、雑誌等への執筆も手掛ける飲食店専門のコンサルタント。大学卒業と同時に東京の飲食企業にて料理長や店長などを歴任後、業態開発、FC本部構築などを10年以上経験。その後、東証一部上場のコンサルティング会社である株式会社船井総研に入社。飲食部門のチームリーダーとして中小企業から大手上場外食チェーンまで幅広いクライアントに対して経営支援を行う。2016年に飲食店に特化したコンサルティング会社である株式会社スリーウェルマネジメント設立。代表コンサルタントとして日本全国の飲食企業に経営支援を行う。最近では東京都の中小企業支援事業の選任コンサルタントや青森県の業務委託コンサルタントに任命される等、行政と一体となった飲食店支援も積極的に行っている。著書の「飲食店経営“人の問題”を解決する33の法則(DOBOOK)」はアマゾン外食本ランキングの1位を獲得。


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