ISTが抱えるもう1つの大きな課題は、開発資金の確保だ。ロケットの製造には莫大な費用がかかる。堀江氏はISTのロケット開発について書いた著書『ゼロからはじめる力』(SBクリエイティブ )の中で、IST以外の宇宙事業も含め、今まで60億円もの私財を宇宙ビジネスに投じてきたことを明かした。
一方、これまで政府主導で開発されたロケットで1回の打ち上げにかかる費用は、「H-IIA」で約100億円だ。開発中の次世代ロケット「H3」は低価格で製造するといわれているが、それでも約50億円程度かかると見られている。
小型ロケットであると同時に、世界一低価格で便利な国産ロケットの実現を目指しているISTでは、製造コストも含めた「MOMO」の1回の打ち上げ費用を5000万円と説明し、従来の観測ロケットと比較すると1桁安価を実現。スポンサーやペイロードの顧客を獲得して、科学ミッション以外にもロケット広告などの新たな市場を開拓している。しかし、「ZERO」の開発となると、さらなる資金調達が必要だ。
「MOMOの製造原価は千万単位ですが、ZEROは億を超えてきます。ZERO1機の打ち上げコストは、ロケットエンジンを9個必要とすることもあって、約6億円かかります。それでもエンジン1個を2000万円以下で作ろうとしているので、これまでのロケットに比べれば格段に安いですね」
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