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» 2021年04月02日 08時00分 公開

堀江貴文に聞く インターステラテクノロジズと民間宇宙ビジネスの現在地ホリエモンが仕掛ける「宇宙ビジネス」【前編】(4/5 ページ)

[田中圭太郎ITmedia]
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新会社設立の目的は衛星サービス事業と資金調達

 資金調達の課題を解決するために、堀江氏が20年12月に明らかにしたのが、人工衛星サービス事業を手掛ける新会社「Our stars」の設立だ。超小型衛星を使った通信衛星サービスと、高度150〜200キロの超低高度衛星による地球観測サービス、それに宇宙実験用衛星の打ち上げと回収を事業の柱にしている。開発中の「ZERO」と合わせて、日本初のロケットと人工衛星を統合したサービスの提供を目指す。

 3つの事業のうち、最初に事業化を目指しているのが宇宙実験衛星と回収カプセルの事業だという。宇宙空間での実験は現在、国際宇宙ステーション(ISS)で実施されているものの、ISSは24年に今後の運用が見直されることになっていて、「Our Stars」の宇宙実験衛星はポストISSの役割を目指している。今後、人工衛星の研究者に委託して、プロジェクトの実現可能性を事前に調査・検討するフィジビリティスタディを進める予定だ。

 「Our Stars」の事業は、「ZERO」が完成する前でも、他の手段を使って衛星を打ち上げればサービスを始めることができる。「Our Stars」設立の狙いを、堀江氏は次のように語った。

インターステラテクノロジズは100%子会社として、人工衛星サービス事業を手掛ける新会社「Our stars」を設立(以下リリースより)

 「Our Starsのサービスによって資金調達をして、そのお金がISTに流れるようにしたいと考えています。ロケットの開発は、打ち上げに成功するかしかないか、ゼロかイチかなので、投資家も(投資するかどうかを)ちゅうちょする部分があると思います。それが衛星サービス事業であれば、ニーズがあるので、ビジネスをイメージしやすくなるのではないでしょうか。

 ISTとOur Starsの関係を分かりやすく言えば、Web制作会社がWebサービスを作るようなものです。ライブドアもWebのシステムを作る会社でしたが、そこから無料のWebサイトサービスなどを他の企業との合弁で作りました。サービスの方が資金調達をしやすいので、調達できた資金を、衛星やロケットの開発に充てます。ISTとしては従来の第三者割当増資も継続しながら、それ以外にもいろいろなオプションを考えて、資金調達をしていきます」

 海外と日本では、民間の宇宙ベンチャーの資金調達事情は異なる。世界初の民間による有人飛行を20年に実現したスペースXは、米政府の宇宙事業を官から民に移す方針のもとでさまざま資金の交付を受けている。こうした資金がロケット開発や衛星事業を推し進める原動力の一つとなった。

 日本でも経済産業省が中心となって、宇宙産業の競争力強化を図る方針を打ち出している。だが堀江氏は、新型コロナウイルス対策に追われている中では、思うように進まないのではないかと厳しい見方をしている。

 「今はコロナ対策でそれどころではないですよね。新しいことができるような雰囲気になっていません。JAXAも今ある予算の奪い合いになっていて、自由に使えるお金があるわけではありませんから。宇宙産業を国が支援するかどうかは結局は官邸次第で、トップの決断です。国やJAXAの民間活用は今後進むとは思いますが、現時点でマインドはそこまでにはなっていません。民間との連携の必要性は言い続けなければいけないと思っています」

「Our stars」では超超小型衛星フォーメーションフライトによる衛星通信サービスを提供する

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