このように、緊急事態対応を除けば、インフレ、雇用の観点から財政緩和は継続せざるを得ないというのが神山氏の見立てだ。ただしリスクもある。バイデン政権が3月31日に明らかにした法人税増税だ。これは現行21%の法人所得税率を28%に引き上げる計画となっている。
この増税は大統領選挙時からの公約であり、マーケットではすでに織り込まれているという見方もある。しかし、「増税のスピードとマグニチュードが織り込まれているかは分からない」と神山氏。
現在市場のコンセンサスでは、増税が実施されるタイミングはまだ先だ。2年後の中間選挙、雇用の完全回復、普通の生活が戻ってきて完全に復旧するまで増税は先送りされるという想定だ。また、28%ではなく25%で着地するという見方もある。もしこれらの想定が覆るならば、今後の経済におけるリスクとなる。
もう1つがワクチンだ。100人あたりのワクチン接種回数で見ると、いまだ1.3人にとどまる日本とは異なり、米国は54.9人、英国は59.3人と早いペースで接種が進んでいる。こうしたことを背景に、なかなか戻らなかったサービス業の雇用も、ここに来て戻る兆しが出てきた。
経済回復、またそれを織り込んだ株価の上昇には、ワクチンが順調に接種され、それが効果を上げることが織り込まれている。
しかしインフルエンザのワクチンを打ってもかかるときはかかると、ワクチンの効果を保守的に考える日本人とは違い、英米ではワクチンを過信している可能性もある。「英米ではワクチンを打ったらもう大丈夫、普通の生活になろうという雰囲気だ。まだ打っていない人がいても医療ひっぱくが起こらないという自信があるようだ。ワクチンが完全に効くと思っている節がある」(神山氏)
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