コロナで課題の「なりすまし受験」 AIで防止するWeb学力検査が登場

» 2021年04月21日 17時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 コロナ禍で企業の採用活動もオンラインにシフトしているが、オンラインならではの問題も生じている。基礎能力を測るために行う学力検査がそうだ。検査を知人や代行業者が代わりに受験する「なりすまし受験」が問題になりつつある。

 AIを使って採用候補者の入社後の活躍や退職の確率を予測するサービスを提供するアッテル(東京都渋谷区)は、「なりすまし防止」機能を搭載したWeb学力診断サービス「アッテル基礎能力診断」の提供を4月20日に開始した。

「アッテル基礎能力診断」のイメージ

採用担当者の6割が「なりすまし受験」に課題

 アッテルが行った調査によると、採用担当者の6割が、採用選考時のWebテストにおいて、なりすまし受験を課題に感じているという。コロナ禍でオンライン選考が普通になったことで、選考の見極めも約半数が難しくなったと回答している。

採用担当者の6割が、採用選考のWebテストでなりすまし受験を課題に感じている(アッテルが採用担当者300人に行った調査より)

 従来、こうしたなりすまし受験への対策は、本人確認や生体認証だった。しかし、昨今なりすましも高度化しており、「本人がパソコンの目の前に座っているが、画面を別の人に共有し、別の回答者が存在する場合には、なりすましを防止できない」(アッテル)といった課題が出てきている。

 「アッテル基礎能力診断」では、1回目の受験はスクリーニング目的で大人数をWebで行い、その後最終面接前など受験人数が絞り込まれた段階で現地で実施する形を取る。1回目と2回目のテストで、同じ難易度だが、異なる解法・回答である問題を出題し、正解できるかを確認することで、1回目のWeb受験でなりすましがあったかどうかを判定する。

 学力検査ではベイズ推定を使い、学習機能を備えたアルゴリズムを使うことで、少ない問題数で正確な学力測定を可能にするほか、受験者が増えるほど精度が上がっていく仕組みになっているという。

 「アッテル基礎能力診断」は、人事管理データ分析システムアッテルの機能の一つとして提供する。利用する企業の規模に応じた料金体系となっており、従業員一人あたり月額350円から。

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