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売上高4割増 オイシックス・ラ・大地の松本浩平取締役に聞く「躍進の理由」ミールキットは出荷数7500万食(3/4 ページ)

» 2021年04月28日 05時00分 公開
[中西享ITmedia]

狭山と海老名に物流施設

――売り上げを伸ばすために不可欠な物流面の対応は、今後どうしていきますか。

 昨年10月に物流施設の狭山ステーションが稼働を開始したので、3月に比べて出荷のキャパシティーが5割増加しました。これにより出荷量が急増し、課題になっていた物流面の問題は解決しました。また今年10月には新海老名ステーションが完成する予定で、これができれば、最大でいままでの2倍まで出荷量を増やせます。会員増にも十分対応できるようになります。

――他社のEC宅配事業の支援をしていますが、今後も続ける計画ですか。

 三越伊勢丹ホールディングスの宅配事業の「ISETAN DOOR(伊勢丹ドア)」のECサイト運営から物流、配送を受託しています。またNTTドコモと協業して、ドコモ契約者向けにミールキットを中心とした定期宅配サービス「dミールキット」を受託していますが、両事業とも伸びています。今後とも協業事業は展開していく方針です。

――身近な小売店の廃業や商店街の衰退により、食料品の購入など買い物が困難になっている買い物難民が増えています。「47都道府県の買い物難民を救え」を合言葉に、小型トラックを使って食品などを買い物難民に届ける移動スーパー「とくし丸」の事業はどのように展開しますか。

 21年3月末現在で約140社のスーパーマーケットと提携し、740台を稼働させていますが、コロナ禍で移動販売のニーズは高いと感じています。全国に700万人いるといわれている買い物難民をカバーするところまでは至っていないので、重点領域として拡充する方針です。

――当面の経営目標は何ですか。

 当面は食のサブスクリプションを成長させて、会員数を伸ばしていくことです。その中でサービス内容も進化させられると思います。

――これまでM&A(企業買収・合併)を積極的にしていますが、今後もベンチャーへ投資する方針ですか。

 日本で初めてテクノロジーで食を変える「フードテック」に特化したコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を発足しました。今後は海外のスタートアップ企業を含めたニューフードアグリテックに幅広く投資するなど、フードテック領域は強化していきたいと考えています。

 米国では社会を変えるようなフードテックのスタートアップが登場してきていて、植物性の肉などテクノロジーが新しい食材を作る世の中になってきています。また温室効果ガス削減や脱プラスチックを目標とした新しいグリーンシフト戦略を策定しているので、この実現も目指したいと考えています。

小型トラックを使って食品などを買い物難民に届ける移動スーパー「とくし丸」

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