東急ハンズCIO・メルカリCIOなどを務め、現在は独立してプロフェッショナルCDO(最高デジタル責任者)の道を進む長谷川秀樹氏が、個性豊かな“改革者”をゲストに酒を酌み交わしながら語り合う対談企画。執筆はITライター・ノンフィクション作家の酒井真弓。
プロフェッショナルCDO(最高デジタル責任者)の長谷川秀樹氏が改革者と語り合う本対談。前編に続き、ゲストは3月末に8年間CIOを務めた日清食品を退職し、独立した喜多羅滋夫氏と、CIO Lounge友岡賢二氏。「武闘派CIO」を名乗り、企業のIT部門を率いてきた3人だ。
人生100年時代、喜多羅氏は日清食品を辞めて何をしようとしているのか。次のチャレンジや、職業としてのCIOの魅力を聞いた。
長谷川: 8年間を振り返って、日清食品でできたこと、やりたかったけど難しかったこと、総括をするといかがですか?
喜多羅: 以前の日清食品は、ITはコスト以外の何物でもなかったんですね。PCは安ければ安いほどいい、壊れるまで使い続けるという価値感だったのですが、「それは違います」と。
重要なのは、高いか安いかではなく、使う人の生産性をどう上げていくかです。だから、全社的に持ち歩きやすいPCに買い替え、Microsoft 365で統一し、トータルコストを下げていきましょう、という方針で進めました。組織全体にそういう価値観を根付かせることができたのは、一つ成果だと思っています。
長谷川: 難しかったことは?
喜多羅: 見たことがないものを理解してもらうことですね。例えば、ERPに関しては、「ERPってボタン押したら全部できるんでしょ」と誤解していた人もいました。
また、当時は、カスタマーマスターデータだけで社内に6、7点在していて、このマスターに触ったらどこに影響が出るのか、実際に問題が起きるまで分からないような状態でした。でも、社内ではこれが普通。他の状態を見たことがない。全く困っていなかったので、「なぜ統合しないといけないの?」「変えたら他に影響が出るんじゃないの?」と。
つまり、見たことがないものはイメージできない。いくら便利になる、効率化されると説明したところで、理屈だけでは伝わらないんですよね。だからこそ、早く導入後の世界を見せて、使ってもらい、メリットを実感してもらう。そこからが本当のスタートだと学びました。
長谷川: 今の世の中、猫も杓子も「DX」というけど、DXは立場によっていろいろな定義があると思います。例えば、コンサルの人はイノベーションがDX。SIの人はシステムを新しくするのがDXとかね。皆さんのDXの定義は?
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