「ダヴ」や「リプトン」など多くの日用品・食品を取り扱うユニリーバの日本法人、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスは、2016年に人事制度「WAA」(ワー、Work from Anywhere and Anytime)を制定。働く場所と時間を社員が選べる新しい働き方を取り入れた。
ユニリーバ・ジャパンが2016年7月1日から導入した人事制度。働く場所・時間を従業員が自由に選べる。業務上の支障がなければ、理由を問わず、自宅、カフェ、図書館など会社以外の場所で働くことができる(※現在は新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務を推奨している)。また、平日5時〜22時の間で自由に勤務時間・休憩時間を決められる。
働く場所や時間の自由に対する理解がまだ乏しかったコロナ禍以前の社会の中で、このような制度を作り、定着させた秘訣は何なのか──アイティメディアの人事部長、三小田(ミコダ)実が、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスの島田由香さん(取締役人事総務本部長)にインタビューを行った。
記事の前編では、WAAの導入が成功した背景を紹介した。しかし従業員全員が、働く場所と時間を選べるようになったわけではない。工場やお客さま相談室など、一部の従業員は制度の対象外だった。「不公平」という声も上がる中で、どのように制度は浸透していったのだろうか。
アイティメディア 三小田(以下、三小田): WAAが始まった16年には、時間と場所に縛られない働き方に対する社会全体の理解度が低かったと思います。また、ユニリーバは工場を持っていて、工場の方には同じ制度が適用できないなど、苦労があったのではないでしょうか。
ユニリーバ 島田さん(以下、島田): WAAを制定した当時、工場とお客さま相談室の従業員は、業務特性上、実施が難しいと判断し、対象としませんでした。その際にやはり「不公平じゃないか」という声があがりました。
三小田: その状況をどのように乗り越えたのでしょうか。
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