フリーアドレス、業績連動評価、年俸制……良かれと思った施策が失敗した理由とは?人事施策のよくある誤解と失敗例(1/2 ページ)

» 2021年01月29日 07時00分 公開
[南野真彦ITmedia]

 あらゆる人事施策には、メリットとデメリットがあります。他社にとっては良い施策でも、自社で導入してみると合わなかったということも起こり得ます。

 人によって薬が効果を発揮したり、副作用が強く出たりするように、人事施策も企業の規模・業種・職種・社員のレベル・価値観・組織風土などによって効果が変わります。そのため正しい処方が必要です。

 本連載では筆者のコンサルティングの経験から、人事施策に関するよくある誤解と、その原因や対策について事例を交えてお伝えしていきます。

photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

フリーアドレスに対する誤解〜IT業界A社の事例〜

 コロナ禍の影響で、社員が在宅勤務を行うようになったために、従来のように一人一人に固定の席を与えずに好きな席で仕事をしてもらうフリーアドレス制を導入する企業が増えています。

 フリーアドレス制には、以下のようなメリットがあります。

  • 固定席を減らしたり無くしたりすることで、オフィス面積を減らしてコスト削減につなげられる
  • さまざまな部署の社員が隣の席になることが期待できる
  • 隣同士になると自然とコミュニケーションが発生し、部署間の交流・連携が強化される
  • 個々人のデスクの上や足元などの紙資料の保管スペースが少なくなり、ペーパーレス化が進む
  • レイアウト変更がしやすい
  • オープンスペースにすることによって同じ床面積でも、開放的なレイアウトにすることによって広々とスペースを使える

 では、フリーアドレス制のデメリットは何でしょうか。仮に自社でフリーアドレス制を導入するとどのような問題が発生しそうか想像してみてください。

 あるIT企業(仮にA社とします)では、上記のようなメリットを享受しようとフリーアドレス制を導入しましたが、半年で元の固定席に戻す結果となりました。

 理由は以下の通りです。

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