コラム
» 2021年05月11日 05時00分 公開

なぜ? トラブル続出のみずほ 「ワンみずほ」どころじゃない三竦みの権力構造このままでは「落ちこぼれメガバンク」に?(1/4 ページ)

同じメガバンクの三菱UFJや三井住友と比較すると、トラブルの絶えないみずほ。筆者はその背景を、リーダーシップのなさだと指摘する。元をたどれば、合併時の権力争いに理由がありそうだ。

[大関暁夫,ITmedia]

 「どうしてみずほ銀行にばかり、おかしなことが起きているのでしょうか?」――つい先日、知り合いの企業経営者からこんな質問を受けました。元みずほ銀行(以下みずほ)グループである、不動産会社ユニゾ向けの多額の地銀融資が、焦げ付きの危機を迎えているという記事を経済誌で読んだとのことです。

 この経営者のメインバンクが貸出残高で上位にあり、債務超過をささやかれるユニゾが万が一破綻すれば大打撃を被りかねないこと。また、地銀の融資の大半がみずほの紹介であるにもかかわらず、ユニゾがEBO(従業員による自社買収)で上場を廃止してみずほグループから離脱するや、みずほはさっさと融資金を回収しメインバンクを下りていたことなどを取り上げた記事内容にお怒りを感じたようです。

画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ

 この記事を一読すると、確かに見かけ上は地銀にグループ企業の融資あっせんをしながら、業況悪化を察知して逃げ出したともとれるみずほの姿勢に問題ありと思えます。しかし、よくよく記事を読みつつ関連報道を含め整理してみると、問題は「逃げた」「逃げない」レベルにとどまらず、むしろはるかに厄介な「みずほの病巣」が透けて見えるのです。

 事の顛末を一言で申し上げると、みずほが送り込んだ元幹部のOB社長が過去のリベンジとばかりに銀行に反旗を翻し、EBOを実施してみずほ資本を排除。融資金も全額返済して親との縁切りを謀った、というのがメインストーリーです。その過程では、形式上従業員が設立したファンド「チトセ投資」によるEBO実施という形をとり、その買収資金としてチトセが投資ファンドから借りた2500億円超の資金を、EBO成立後にユニゾがチトセへ貸し付けて返済したために、ユニゾが実質債務超過状態にあるといわれているのです。

 ユニゾの債務超過うんぬんの話は、いったんここでは置いておきます。問題は、なぜみずほが子会社のOB社長に反旗を翻されるようなことになってしまっているのか、です。

みずほの問題、根源は「リーダーシップのなさ」

 問題の根源は、みずほと関連会社の歴史にあります。三菱UFJ、三井住友の上位2メガバンクは、合併前の銀行別に存在していた複数の同業系列会社の統合へ向けて、合併後早々に着手。親会社主導で効率化と相乗効果促進が図られたのですが、この点でみずほは大きく後れを取っているのです。

 例えば、主力分野である系列リース部門において、みずほはいまだに旧3行由来の会社が存在しています。しかもそこは旧行別のOB出向先となり、元幹部OBが居座って統合を妨げているのです。マイナス金利下で一層重要性が増している非バンクビジネス収益が、上位2行と比べて圧倒的に見劣っている原因はここにあります。系列の不動産会社もしかりです。先のユニゾは日本興業銀行の子会社であった常和ホールディングスが、みずほに反旗を翻し旧興銀関連の不動産を売却して事業内容を大きく転換させ、上場して社名も変更したものです。

 銀行の世界で、なぜ“親の意”に反するようなことがまかり通るのか不思議なのですが、これはひとえにみずほの経営中枢のリーダーシップの弱さに尽きるのです。この辺りの問題は、上位2メガバンクとは異なる、特殊な合併事情に由来しています。

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