この取り組みで活用している「健康チャレンジ!アプリ」は体重、歩数、体温などの記録をまとめて管理できる法人用アプリ「FiNC for BUSINESS」をアサヒ飲料向けにカスタマイズしたものだ。歩数をいつでも確認できるのはもちろん、体重や体温の変化をグラフで分かりやすく表示できる。健康意識を高めるとともに、社員が1万歩歩くごとに1本の飲み物を寄付することになる。
社員は健康課題に関連するミッションをクリアすると、難易度に合わせてポイントがもらえ、たまったポイントはオンラインウェルネスセレクトショップ「FiNC MALL」やアサヒ飲料の特設ECサイトで使うことができる。
アプリ内ではテーマに合わせたチャットルームを開設し、参加メンバー間でコミュニケーションができる。テレワークによるコミュニケーション不足を解消するためにも役立てるという。
「チャット形式で会話ができますので、『今こんなことをしています』など投稿し、周囲に後押ししてもらえる仕組みです。社員からも使い勝手が良いと聞いています」
昨年開催したウォーキングイベントは参加率が約50%だったが、アプリ導入後のWalk for a smileの参加率は4月下旬時点で約80%と高い状態だ。12月のアンケートでは運動不足を感じる社員が多かったが、「次の調査では改善した結果が出るのを楽しみにしている」と米女社長は期待を話した。
なぜアサヒ飲料は健康に注力するのか。同社が示す企業ビジョンの中で、19年から特に重点領域として挙げているのが「健康」「環境」「地域共創」の3つだ。取り扱っている各商品は、健康に貢献できるブランドとして育成し、提供しているが、健康に資する商品を提供する会社であるために、「まずは社員自身が健康でなくてはならない」(米女社長)という考えがある。
その考えの下、社員に歩くことを奨励したり、スニーカー通勤・勤務を可能としたりしてきたが、「健康情報や生活様式を発信できていない」という課題があったという。
今回は1万歩ごとに1本の飲料を社会に還元することで、情報を発信。また、還元につながることで、社員の歩くことに対する意識がさらに高まることを期待している。
健康チャレンジ!アプリは、スマホにインストールするだけで歩数がカウントされるので、一人一人が自分の健康を意識し、リモートワーク中でも思い思いの場所と時間で歩けるメリットがある。
「今まではこうしたツールがありませんでした。アプリは非常に身近なものになっていて、いろんなイベントへの参加率が高くなりました」
たとえコロナ禍のような変化が起こっても、「時代の変化にしなやかに対応し、お客さまや社会との約束をきちんと守り、新しい価値を生み続けることがメーカーの使命」という米女社長の強い思いを支え、経営の基本になってきているという健康。今後も健康経営を進め、世の中が健康になるような商品を提供し続けていくという。
一方で、コロナ禍がリモートワークを推進するなど、働き方は変わりつつある。米女社長は「人が価値を一番出せる状態で働いてほしい」と語る。
「一番自分が仕事がしやすく、自分のポテンシャルを最も発揮できる状態がリモートワークなら、それで働いてくれたらいい。人の力が最大限発揮され、それが結集されていくような組織が一番強いと思っていますし、そういう組織にしたいです」(米女社長)
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