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官僚アンケートで発覚 未だに「残念すぎる」霞が関の働き方と、改革を阻むカベ働き方の「今」を知る(3/4 ページ)

» 2021年05月18日 05時00分 公開
[新田龍ITmedia]

 一方で、この変化には省庁や党派、議員の年代によって偏りがあることもまた明らかになっている。デジタル化が進んでおらず、いまだに対面でのやりとりを求められる省庁として意見が出たのは次の通りだ。

  • 「大臣レクは全て対面。そのための幹部室も全て対面。管理職はそれに対して何の違和感も抱いていないように思う」(財務省 20代)
  • 「紙資料の部数や、資料のセット方式に無駄がありすぎる。大臣の分の資料はともかく、秘書官や大臣室の資料はペーパーレスで良いはずなのに、常に数十部のコピーがいるのは理解できない。資料のインデックスの付け方一つとっても、深夜に高い残業代かけてすることではないのに、やたらと付け方のルールが厳しく時間の無駄。こんなことをしに官僚なったのではないだろうなと思うし、若手が辞めたくなるのは理解できる」(国土交通省 40代)
  • 「出向者から聞いたが西村コロナ担当大臣は絶対に紙での説明を求めるため、ペーパーレス化が不可能といっていた。記者会見で言っていることとやっていることが違うといっていた」(防衛省 30代)
  • 「一度もオンラインやリモートはなく、秘書官も朝6時から対面レクを平気で入れる。家族に急に無理を言って、保育園などの対応を代わってもらう羽目になり、家族不和にもつながった」(厚労省 30代)

デジタル化に積極的/消極的な政党は?

 「リモート対応やペーパーレス等デジタル化に積極的に対応している国会議員の所属政党」としては、「日本維新の会」と「国民民主党」が共通して「党としてオンラインに積極的」「比較的リモート対応や電話レクが多い」との意見が見られた。

 そして現役官僚から、「質問通告時間が遅い」「デジタル対応が遅れている」双方の項目で名前が挙がった不名誉な党がある。それは「立憲民主党」と「共産党」だ。

<立憲民主党へのコメント>

  • 「通告を一度した後、何度も差し替え、時には前日午後10時や、休日など、非常識な時間に行うことも多い」(内閣官房)
  • 「定時以降になっても通告すら分からないまま、最後に出された要旨は、要旨対応問い合わせ不可、要求大臣は全大臣。質問項目は〈内外の諸情勢について〉のみ」(経済産業省)
  • 「対面でのレクを求められ、実施したのち、その日のうちに宿題返しを紙媒体で行い、対面で再レクを求められた」(厚生労働省)

<共産党へのコメント>

  • 「午後10時を超えても通告を出さず、全省庁が待機させられた」(文部科学省)
  • 「レク要求で求めていた資料を出さない限り通告を出さないなど、通告を役所との取引に使っている」(国土交通省)
  • 「国家公務員も労働者であることに配慮してほしい」(環境省)

 アンケートには、「質問通告は2日前」のルールを守れておらず、リモート対応やペーパーレスなど、デジタル化にも対応できていない議員名を挙げてもらう設問があった。結果として回答が寄せられた議員名はワーク・ライフバランス社のリリースには明記されていないが、一部メディアには個別開示されたため、筆者はその情報を基に、得票数の多い議員複数名に対して取材を行った。

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