ラクスの特筆すべき2つ目のポイントは「高成長にして高収益体制」が築けている点だ。
「SaaS企業の時価総額はなぜ高いか」でも触れた通り、SaaS企業は売上成長率を加速させ、先行して顧客基盤を獲得することが重要だ。そのためSaaSスタートアップでは赤字となっても人材採用や広告投資を行うことが成長の定石だと考えられている。
freeeやマネーフォワードは赤字でのIPOを迎えた後、現在に至るまで継続して最終赤字を計上し続けているほか、Sansanも利益率は低い一方、各社ともに高い成長率を記録してきた。
対照的にラクスは、今回の決算でも営業利益率25.3%、EBITDAマージンも28.2%と高い利益率を計上しているにもかかわらず、併せて40%近い成長率を達成している点は驚異的だ。
SaaSビジネスの成長を見る上で、適切な成長率と利益率は「Rule of 40%」と呼ばれる。これは売上成長率と営業利益率を合算した数値が40%を超えれば優良であると考えるものだ。「Rule of 40%」に当てはめると、57%にも達するラクスのレベルの高さは一目瞭然だ。
先行投資による赤字許容度が高い海外投資家と比較し、国内投資家は黒字を好むと言われている。その中で「高成長と高収益」を両立させてきたラクスは、個人投資家からも高い支持を受けており、現在の時価総額を形成している。
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