今回公表された資料の中で意外性があったのが、M&Aを活用した成長戦略に言及している点だ。
ラクスは18年にメール配信サービスのブレインメールを子会社化しており、M&Aの経験も有しているものの、ラクス自身の強みを企業買収で生かしきれるかは未知数だ。買収の対象はバックオフィス系のSaaSなどと考えられるが、freeeやマネフォワードも同様の企業への投資を強めており、M&Aにおいてもし烈な競争が生まれる可能性がある。豊富な現預金を保有している次のラクスの一手に注目したいところだ。
本記事では、ラクスの現在までの成長や今後の展開について解説をしてきた。今回の決算でも非常に良い結果を迎えた一方で、足元のバリュエーション指標は既に高い期待を反映した水準まで上昇しているという指摘も多い。
他のSaaS企業では、決算発表において少しのネガティブ要素で翌日の株価がストップ安になるなど、急ピッチで上昇した時価総額に対する調整が生じているようだ。数年内にARR200億円の突破も見えてきた中、引き続き投資家の高い期待に応え続けられるか、次のステージへ加速していくラクスの取り組みに注目していきたい。
本記事を執筆するアナリストが運営する「企業データが使えるノート」では、記事中のARR内のデータなどSaaS企業に関するKPIデータや財務、バリュエーションデータ等を独自の分析を交えnote内で提供しています。
「アナリストにSaaS企業分析・データ作成をアウトソースできる」をコンセプトに、記事中のARRやARPUといったSaaS KPIデータのダウンロードができるなどの独自コンテンツを配信。
最新情報はTwitterで発信中 企業データが使えるノート @CraftData2
SaaS企業の時価総額はなぜ高いのか?
ビジネスパーソンのためのSaaS KPI入門
コロナでも出社? 経理の完全リモートワークを阻む壁
AI insideの衝撃【前編】売上を250%成長させるSaaSの逆セオリー
【AI insideの衝撃 後編】SaaS企業からAIプラットフォーマーへCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング