2年前の新会社設立により“製販一体”が実現。それまでの家電・空調事業は“売り切り型”のビジネスだったが、空調・家電を“(暮らしの)ソリューション”として提供可能な体制が整うことになった。
製品のIoT化を推進していた時期でもあり、ビッグデータとしてユーザーデータを取得し、ユーザーの暮らしを分析。製品による“家庭とのフィジカルな接点”を利用して、さらなる事業拡大を目指すこととなる。
谷口氏はこれまでの2年間について、1年目は日立GLSが社会貢献できることについて、強いことを磨き上げ、やめるべきことを決定するなど、課題抽出と取り組むべきテーマの選定、さらに改革に着手した年だとした。2年目は選定したテーマに取り組むため、コストカットやサプライチェーンの効率化・デジタル化など、強固な体質作りを行った年とした。
3年目について、これまで無駄なぜい肉にあたるコスト等の削ぎ落としや、成長のためのテーマへの着手で筋肉もついてきたとし、いよいよ成長局面にあると語った。
事実、20年度の日立GLSの業績は好調だ。日立製作所が4月28日に発表した21年3月期連結決算発表によれば、売上高4563億円、調整後営業利益335億円、EBIT399億円。調整後営業利益率は7.3%で前年比プラス2.4ポイント、売上高EBIT率は8.7%で前年比プラス1.2ポイントで、調整後営業利益率、売上高EBIT率は過去最高となった。
また21年度の見通しは、同順で4094億円(前年比90%)、334億円(同99.7%)、877億円(同219.8%)。調整後営業利益率は8.2%(前年比プラス0.9ポイント)、売上高EBIT率は21.4%(前年比プラス12.7ポイント)。
21年度見通しについては、海外家電事業において20年に設立に合意した合弁会社の影響で売上高はやや減少するものの、収益性の改善効果を見込む。また売上高EBIT率は、海外家電事業の株式譲渡益が含まれるため、20%超となっているが、この譲渡益を引いても10%を超えるものになるという。
そして現状の課題として、人材やスキルのリ・トレーニング(再教育)をする必要があるとし、デジタル化に関して経験のある人材が少ない点を挙げた。合併による経営改革やパーパス策定の過程などを経て、成功事例は出てきているがもっと増やしたいことに加え、成功事例を社内に広げられる人材や、自身の業務へ転用できる人材を増やしていきたいという。
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