このような経緯の中、21年4月に策定されたのがパーパスだ。パーパスの内容はすでに公開されており、「ひとりひとりに、笑顔のある暮らしを。人と社会にやさしい明日を。私たちは、未来をひらくイノベーションで世界中にハピネスをお届けします」となっている。
パーパスとは一体何なのかという質問に対し谷口氏は、「社会において、日立GLSがどういう存在であるか、どういう役割を果たすかを示したもの」とし、これは従業員一人ひとりの行動指針であると同時に、経営や事業戦略の指針にもなるとした。また顧客に対して示す自社の行動指針でもあるという。
行動や意思決定の指針としてパーパスが存在すれば、従業員は主体的に行動しやすくなるため、結果として個々の力がより強く発揮できるようになる。またパーパスを通して会社全体も自分事として捉えられれば、他の従業員の業務に対する理解や共感が生まれ、会社としてさらに力強く前進できると語った。
そういった社内での指針の必要性に加え、共働き家庭や小世帯高齢者の増加など顧客の生活スタイルが大きく変化しつつあり、またSDGsの意識が高まり、環境への関心や脱酸素といった課題取り組みへの必要性も感じていたことも、パーパス策定の経緯になっているという。
さらにコロナ禍では、従業員の業務スタイルも変化。特にリモートワークで実際に会うことや会話もままならない状況下では、会社としての行動指針の策定が急務と感じたという。同時に、従業員からの策定要望も多くあったとした。
実際のパーパス策定では、経営陣を中心に20年夏から年末までの期間、主に策定方法について議論。21年年初からは多様な従業員でワーキンググループを構成し、メンバーの周囲の意見を吸い上げながら、内容について議論を行ったという。グループ作成の案は、経営陣と何往復もさせながらブラッシュアップし、完成に至ったとした。
主に、従業員の意見をベースにして作られたパーパスは、「こうありたい」と従業員が願うこと、そのものがメッセージとして盛り込まれているという。
このメッセージについて谷口氏は「変化の激しい社会において、従業員一人ひとりが共通のゴールに向かって、柔軟性、チャレンジ精神をもって進むには北極星のようなものが必要だ。そのためには、従業員の願う姿をパーパスとしてメッセージするのが一番」で、この点も、同社にとっての前進だとした。
日立GLSは今後、パーパスによって力強く前進しながら、「家庭とのフィジカルな接点を活用して、インターフェイスとしてハピネスを提供していきたい」と結んだ。
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