銀行の存在感を示す店舗の数はどうするのか。りそなグループでは、りそな銀行、埼玉りそな銀行と、関西みらいフィナンシャルグループ傘下の関西みらい銀行、みなと銀行の4つの銀行を抱えている。地域的には首都圏に290店、関西圏に515店など全体で830店(20年9月末現在)ある。りそなグループの規模感からすると、メガバンクよりも支店の数は多めだ。
これについて南社長は店舗の重要性を強調する。
「店舗でのフェース・トゥ・フェースを、デジタルを使いながらより特別なものに昇華していけば、これまでお客さまにリーチできなかった新しい価値を提供できる。資産運用や事業継承の相談などは人と人が会った形で推進していくのが一つの大きなポイントではないかと思う。デジタルに磨きをかけながら、店舗での営業にも価値があるという認識の下で、ネットとリアルの融合の先には、店舗の価値は今とは違うものがあるのではないか」
一方でりそなグループの地域特性について「『みなと銀行』がシェアを持っている神戸と東京23区とでは営業の仕方が違うことから、営業には地域特性があると考えている。地域特性を生かした営業は一定程度優位性がある。デジタル化により店舗のダウンサイジングと人数は縮小するものの、大幅な店舗数の削減は考えていない」と明言した。
これは店舗数を大幅に減らす意向を示しているメガバンクとは異なる戦略だ。50万の中堅中小企業の取引先と1600万人の利用者がいるリテール、中堅中小企業の比率の高い地域性を重視しているりそなグループの特徴を示しているといえる。
ATMについては「タブレットのようなもので、ATMの取引の大半を代替できるものが多く出てきている。その中でATMの機能をどうしていくか。コロナ禍で非対面、非接触の国民のニーズが相当高まっている時にこれが今後どうなるか。お客さまの行動がどう変わっていくのかを見ながら変更していきたい。現在はATMの操作回数よりも、グループアプリのタッチポイントの方が圧倒的に多くなり、来店者数は徐々に減っている。こうした行動変容の中でもう一回ATMの在り方も問い直す必要がある」と述べ、ATM機能の縮小も検討課題にしている。
メガバンクとの違いを今後の業績拡大にどこまで反映させることができるか、南社長の手腕が問われている。
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