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DXで先端を走るりそなHD 南昌宏社長が展望する「リテールトップへの道筋」りそなHD南昌宏社長インタビュー【前編】(2/5 ページ)

» 2021年05月27日 18時33分 公開
[中西享, 今野大一ITmedia]

「印鑑レス」の流れ

 15年にオープンしたばかりの東京の臨海部にある豊洲支店を見学したことがある。デジタル化のモデルにしようとしたこの店舗では、印鑑を使わないように事務処理を抜本的に見直した。従来店舗より少ない事務員で事務処理ができるように業務プロセスを改革したという。

 この「印鑑レス」の流れは現在、りそなグル−プの全店に普及している。南社長は「りそな銀行と埼玉りそな銀行が中心だが、いまは新規の口座開設のうち80%が『印鑑レス』になっている。手続きが煩雑で印鑑をいくつも押印していた住宅ローンも申込から契約・決済までアプリで完結することもできるようになった」と話す。

 2004年から始めた「書かせない」「待たせない」「(印鑑を)押させない」という「3ない運動」がきっかけだ。店舗で来店客に記入させることを省略、簡素化し、業務をスピードアップすることで待たせないようにし、印鑑はできるだけ押さないで済むように業務の見直しを進めた。「デジタル化の進化により業務プロセスの『断捨離』を進めた上で、お客さまの顧客体験を大きく変えながら、その裏側で圧倒的なコストダウンを実現していきたい」と話す。

 店舗の日々の事務処理をするバックヤードは共通なので、これをりそなグループが同じ方式でデジタル技術を活用して実現すれば、大幅なコスト削減につながるというわけだ。

 次にデジタル化を加速する原動力になったのが、18年に導入した「りそなグループアプリ」と呼ばれるスマートフォンを使ったアプリだ。「いつでも」「どこでも」をコンセプトに簡単・便利を重視して作ったこのアプリは文字通り「歩く銀行」で、シンプルな画面デザインと使いやすさにこだわって開発した。口座残高、入出金明細の確認や振り込みなど、現金引き出し以外の大半の取引がスマホにタッチする簡単な操作だけで完結する。

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