では、こうしたスマートベータ運用は市場平均、つまりインデックスを上回れるのか。バックテストと2020年11月からの運用開始からの成績でいえば、平均して約10ポイントほどWealth Wingは市場平均を上回った。また、株価の変動率(リスク、ボラティリティ)は9%程度となっており、市場平均を下回った。つまり、リスク当たりのリターンであるシャープレシオは改善した。
アルゴリズム系の運用は当然ながら、バックテストで市場平均を上回る組み合わせをとってくるので、これ自体は意外ではない。また半年間という短期の成績では、本当に市場平均を上回る超過収益(アルファ)を獲得できるモデルなのかどうかは定かではない。それでも運用担当者は、アクティブ運用に自信を見せる。
「もともとポートフォリオ運用の出身だったので、アクティブ運用否定派だった。しかし、前職の運用会社で数百億円のアクティブ運用を行う中で、実感としてインデックスを上回るものがあり、実際にそれで何年も利益を上げてきた。(Wealth Wingを通じて)いろいろな投資手段を投資家に提供したい」
Wealth Wingは6月3日に新たにスマートヘッジ機能の提供も開始した。これは、相場観によってユーザーが市場平均と逆の動きをするインバースETFを組み入れることで、市場下落の影響を減らせる機能だ。これによって、市場平均が下落してもインバースETFが上昇して打ち消しあう。
「グローバル分散、アセットクラス分散をしても、金融グローバル化が進む昨今ではリスクをヘッジできないという現実がある。スマートヘッジでは、保有資産とほぼ真逆の資産を買うので、完全にヘッジできる」(スマートプラス運用担当)
投資をしているのに市場の動きを相殺してしまっては、利益も出ないのではないか? と思うかもしれない。実はここにアクティブ投資の妙味がある。市場平均を超えるリターンを目指す運用では、市場の動きを消し去っても超過リターン分(アルファ)は受け取れる可能性があるからだ。
「個別銘柄へのアクティブ投資なので、あわよくばアルファも取れる」(スマートプラス運用担当)というわけだ。
インバースETFは信用取引を使うため、別途資金を必要とせず、手持ちの株式を担保として保険が掛けられるメリットもある。また先物売りを使う場合と違い、利益に対する税金を相殺できるのも制度上の利点だ。
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