キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか週末に「へえ」な話(2/4 ページ)

» 2021年06月05日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

液体を減らす

 実は、キユーピーは「ゆでたまご」に関して、苦い経験がある。2年前に「サラダゆでたまご」という商品を販売したものの、消費者から支持されず、終売することに。日本人のたまご消費量は世界で第2位。さまざまな調査を見ても「たまご好き」は多く、好きな料理でも「目玉焼き」「オムライス」「ゆでたまご」が上位にランクインしている。

 こうしたデータを見て、同社は「やはり、ゆでたまごの新商品は出すべき」と決意するとともに、「サラダゆでたまご」はなぜ売れなかったのかを分析する。その答えとして「液体」が浮かんできた。賞味期限をできるだけ長く確保するために、パッケージの中に菌を繁殖させてはいけない。そのために特別な液体を入れているわけだが、その量が問題だったのである。大量に含まれていて、その中にゆでたまごが浸かっている。というわけで、「そのまま食べる」ことが難しかったのだ。

液体を減らすことに成功した

 おでんの出汁に、たくさんの具が入った商品を見たことがある人も多いと思うが、アレとよく似ている。袋を開封してすぐに食べるには、液体の量を減らさなければいけない。会社の上層部からは「液体をゼロに!」といった指示が飛んできたものの、結果的にゼロにすることはできなかった。それでも「ギリギリのところまで減らすことに成功しました」(藤原さん)

 現在、販売している商品には数CCの液体が含まれているが、上層部からは「もっと少なく」と言われていて、どうやったら減らすことができるのか、日々研究を進めているという。

パッケージのデザインを新しく

 ふむふむ。開発のご苦労はよーく伝わってきたが、それにしてもなぜここまで売れているのか。液体が少なくなったので、「うへっ、これは食べやすい!」と感じて、パクパク食べる人が増えていることも考えられるが、それだけではないような気もしている。ちょっと調べたところ、「たんぱく質」というキーワードが浮かび上がってきたのである。

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