ECではAmazonや楽天など規模の大きなプラットフォーマーがある一方、ココカラファインもECの売り上げを伸ばしている。これらのITジャイアントとの競合についてどのように捉えているのかを問うと、森氏は、ドラッグストアだからこそのECの利点があると力説した。
「Amazonや楽天は、欲しい商品を簡単に探すことができて、より早く決済できます。リテール側がプラットフォーマーとして勝つのは難しいですが、当社のECはサービスが少しそれらとは異なる部分があると考えています。当社のECで購入する商品の中には、半年に1度しか購入しないけれども、ずっと飲み続けている大事な薬があります。日用品はAmazonで買うことにハードルはないかもしれませんが、自分が服用する薬に関しては、やはり信頼できるドラッグストアで買いたいと思われるのではないでしょうか。
また当社ではネットで購入していただいたものを、店頭で受け取ることができるBOPISというサービスも提供しています。ECと店舗を結び付けるもので、お客さまの好きなタイミングで購入できて、商品を受け取ることができます。このBOPISのサービスを今後も拡大していきたいと考えています」
オンラインとオフラインを融合することで、クーポンによって来店を促すだけでなく、薬をネットで購入できるサービスを提供している。森氏はさらに理想的なサービスとして、顧客の嗜好(しこう)に合わせて一人ひとりに最適化した商品を提供する「1to1マーケティング」の実現を目指していると明かす。
「極端な話かもしれませんが、1to1を実現することが最終的な目標です。例えば剃刀の替刃は、いつ替えたらいいのか分からないですよね。今日購入して、ちょうど刃が傷んだ1カ月後くらいに200円引きになるクーポンがスマホに届けば、購入の動機につながると思っています。
歯ブラシも同じです。不景気のときには売り上げが下がる商品ですが、健康に直結します。例えば、お子さんの歯ブラシを1カ月ごとに定期的に案内できれば、適正な時期に買い替えが進むのではないでしょうか。こういうことが実現できるのがデジタルの良さだと考えています」
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