「打倒ヤマダ」のヒントは復調中のブックオフにあり? リユース(中古品売買)業界が生き残るヒント小売・流通アナリストの視点(2/5 ページ)

» 2021年06月24日 05時00分 公開
[中井彰人ITmedia]

「中古で十分」な層は、案外幅広い

 確かに考えてみれば、家電は「最新の機能がついているから買ってみたい」というニーズが高く、そういった顧客層は中古品に関心はないかもしれない。ただ、単身赴任族や下宿学生などにとっては、家電としての機能さえあればいいのであろうし、最新機能などいらないと考える高齢者も、中古で十分という世帯は多いだろう。

 こうした背景を考えれば、家電量販店による中古家電の販売は新たなマーケット開拓の可能性があるかもしれない。また、新型店出店に伴う既存店の転換という意味合いからしても、既存店のスクラップコストを最小限に抑える選択肢として、やってみる価値は十分にありそうだ。

最新家電は機能が多すぎる?(画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

 今の日本の消費者が家電を購入する際、多くの場合、それまで持っていた家電製品を捨てて、新たな製品のためのスペースを確保することが必要だ。冷蔵庫、洗濯機、テレビ、などといった大型家電のみならず、調理家電、音響機器といったそこまでは大きくないものにしても、新しい製品を買おうとすれば、それまでの製品を捨てて置く場所を確保することが必要になる。

 最近ではエアコン、冷蔵庫などの大型家電に関しては、買い換えに伴う値引きなどをつけて販売促進しているのを見聞きした読者も多いだろう。家電製品が行きわたった日本においては、家電販売をする上で既存製品を引き取って処分するという工程が不可欠となりつつあり、家電量販店大手などは、この廃棄物処理工程をずいぶん前から整えている。

 しかし、家電リサイクル法の対象家電は別にして、積極的に中古品回収・リサイクルを行ってきたわけではなく、多くの場合、別ルートで中古流通、もしくは廃棄されてきた。廃棄物処理工程までを整えているのであれば、その中から修理してリユース可能なものは販売していく方が売り上げにもつながるということなのだろう。

 新品家電を売る家電量販店大手が既存使用製品の回収に本気で取り組むとなると、中古家電を販売している企業にとっては強力なライバルが出現することになるだろう。

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