例えば、値決めなどの透明性については改善の余地がある。コードや品番を検索することで、ある程度ネット上でも価格比較できる本や家電などに関しては、かなり透明性のある相場ができているが、そうでないジャンルもあるからだ。
高級ブランド、貴金属、着物などの高単価商材に関しては、情報格差を活用した差益商売を目にすることも多く、「適法ではあるが、ずる賢い商売だ」と感じてしまうビジネスモデルも存在する。特に、地方・郊外で高単価商材を高齢者から買い上げるビジネスに関しては、多くが高齢者の情報不足や機動力の不足を逆手に取り、かなり安い価格で買い取ることで、収益を得るというパターンが多い。
その価格差はかなり大きく、大都市で販売力のある店舗に買い取りを依頼した際の、半額以下であることもよくあるようだ。売った本人が「それでいい」というのならば何も悪くはないが、少し探せば、同じものでも倍で売れる別の店があることを知らないで、売れたと喜んでいる高齢者の話を聞くと、かわいそうに思うこともある。
「地方や郊外などから集めてくるから、いろいろコストがかかるのだ」と反論されれば、その通りなのでこれ以上、余計なことはいわない。ただ、不透明な値決めで買い取られたと消費者が気付けば、業界の信頼度が大きく毀損(きそん)してしまう。ひいては、商品の流通が落ち込み、自らの首をしめてしまうことにもつながってくるはずだ。
ヤマダの参入によって、今後中古品売買各社は、扱う商品ジャンルを増やしていくことだろう。そんなとき、不透明な値決めをしていれば、顧客離れは避けられない。そうならないためにも、ITを活用した透明性を徹底的に追求することが求められるといえる。
中井彰人(なかい あきひと)
メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。
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