近年、環境問題に対する意識が高まりつつある中、使い捨てプラスチックの次に温暖化対策のターゲットとなっているのが紙製パッケージだ。
使い捨てプラスチックのように、海洋生物を脅かす存在ではないが、実は年間約30億本もの木が紙製パッケージに使用するために伐採されているという。しかも、その数は2025年までに、2割以上も増加すると予想されている。
また、伐採されている木々の多くが、絶滅の危機にある生物が生息するような森林からであることも懸念されている。森林は一度伐採されてしまうと、再生までにとてつもなく時間がかかってしまう。仮に再生できたとしても、元の原生林と同量の二酸化炭素を吸収したり、雨水や気温を調整したりする機能を復活させることは難しいと言われている。
そのため、環境保護団体が中心となって、原生林を救う保護活動がずいぶん前から行われてきた。それが、再び注目を浴びているのだが、なぜ今また話題になっているのだろうか。
その理由はいくつかある。まず、Eコマースビジネスが急成長していることが影響している。特にコロナ禍でネット通販の利用が加速し、紙製パッケージの需要が高まっているため、気候変動や野生動物の生態系など環境に及ぼす影響が深刻になりつつあるからだ。
それだけではない、Eコマースの市場は今後さらに拡大していくことが予測されているため、紙製パッケージの原材料がどのように調達されているのか注意深くチェックする必要が出てきているのだ。
そこで、いま脚光を浴びているのが「Pack4Good」というプロジェクトだ。カナダを拠点に活動している非営利環境保護団体「Canopy(キャノピー)」が立ち上げたプロジェクトで、絶滅の危機にある原生林が使い捨て紙製パッケージに使用されないように、企業などに対してソリューションを提案している。
つい最近では、仏高級ブランドのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが「Pack4Good」に参加することを発表して話題になったばかりだ。
立ち上げから、わずか18カ月しか経ってないにもかかわらず、「Pack4Good」に参加するブランドは232にもなり、それら企業の収益を合わせると1320億ドルになる。かなり巨大なプロジェクトだと言える。
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