東急系のスポーツジム、オンライントレーニングを本格化 個人の健康を「チーム」でサポートコロナ禍で退会者は1.4倍(3/3 ページ)

» 2021年07月06日 15時10分 公開
[上間貴大ITmedia]
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ジム運営会社から業態変革「ウェルビーイング総合カンパニー」へ

 同社は21年6月に、ジム運営会社から「ウェルビーイング総合カンパニー」へ業態変革すると発表した。具体的には、店舗型のフィットネスクラブ事業に加え「ホームフィットネス事業」「デジタルヘルス事業」、健康経営コンサルティングなどを手掛ける「BtoB/BtoG事業」の4事業を柱とする組織改編を実施。

 その背景には、やはり新型コロナウイルス感染拡大による生活様式の変化がある。同社もコロナ禍の影響を大きく受けていて、20年の売り上げは前年比約3割減となる約140億円(19年は約188億円)。また、20年4月〜21年3月末までの退会者は対前年の約1.4倍にのぼり、31%がその理由を「コロナウイルス懸念のため」としていた。

東急スポーツオアシス 東急スポーツオアシスの売上高(発表会説明資料より)

 その打開策として力を入れていたのが、自宅で気軽に運動を楽しめるサービスの展開だ。外出自粛や在宅勤務の普及により、自宅で運動するニーズが高まっていて、同社が展開するトレーニング用具やオンラインサービスの20年度の売り上げは約8億円と前年比で約2倍に伸長。また、ウェブジムのダウンロード数は前年比で約2倍、利用者数は66万人となった。

パーソナルトレーニング ウェルタッグのデモンストレーションの様子

 業態変革を機に、これまでのフィットネスクラブ事業でも幅広い需要に対応する取り組みを進める。事前の手続きや準備をせずに、ジムに1回から通える「OASIS 1DAY PASSPORT」の販売を開始。また、おひとり様のニーズや密を避けられる「個ジム」など、従来の形式にとらわれない事業を展開する。

 BtoB/BtoG事業では、在宅勤務の定着により組織の健康管理やコミュニケーション活性化のため、運動を取り入れたいという企業や自治体の要請が増えていると話す。20年度の同社法人ページへのアクセス数は前年比で180%増加。これを踏まえ、同事業では運動メニューや生活習慣まで含めた総合的なメニューの提案を進めるとしている。

 スポーツクラブの利用者数は、日本の人口の約4%にあたる約500万人といわれている。一方で残り96%はこれまで獲得できていなかった層だ。東急スポーツオアシスでは、ウェルタッグの利用者を今後3年で66万人とすることを目指している。新たな事業とともに、これまで未開拓だった層の獲得を進める。

スポーツジム利用者500万人以外の取り込みを図る(発表会説明資料より)

 コロナ禍で変わった生活様式にうまく対応し、ジムに行かない層をどこまで取り込めるか、各社の次の一手に注目が集まる。

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