日本も同じように対応していく必要がある。サイバー攻撃が来るのは日本国内からだけではなく、海外からが多い。それに対処することで、サイバー攻撃への抑止力にもなる。またターゲットになるのは政府も民間も、もはや関係がなくなっている。隙があるところに、入ってくるからだ。
ただ課題はある。現在、警察の捜査でも、不正アクセス禁止法やコンピュータウイルスに関する罪など捜査活動を制限する法律がある。「サイバー直轄隊」などができるタイミングで、積極的な捜査ができるような法整備も進めていくべきである。例えば、ドイツの捜査当局は、捜査目的ならハッキングもサイバー攻撃も実施できる。
知人の凄腕ハッカーは、日本では法整備の不備などサイバー犯罪捜査(フォレンジックス)で思うように活動できないと限界を感じて、日本を離れて海外で仕事に就いた。きちんとした対策ができる体制を作らないと、超優秀な「トップガン」と呼ばれるような本物の人材は海外に流出してしまう。
日本は独自でサイバー攻撃に対応できるように、一刻も早い準備が必要になる。攻撃者は待ってくれないからだ。
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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