「アサヒビールとしては高アルコール商品の展開を控え、ノンアルコールから低アルコールの商品を主に販売していく」──同社の松山一雄専務取締役(マーケティング本部長)は7月13日、2021年スマートドリンキング下期戦略発表会でそのように明言した。25年までにアルコール3.5%以下の商品の販売容量構成比を20.0%にする方針だ。
松山専務の発言の背景には、アサヒが推進しているプロジェクト「スマートドリンキング」(以下、スマドリ)がある。現在、世界ではノンアル・低アル市場が年平均6.0%で成長(数量ベース)しており、日本でも微増だが同様の傾向が見られるという。また、コロナ禍の影響で消費者の生活スタイルが多様化した。そこで同社が示したのが、酒を飲まない層を含む多様な消費者ニーズに合ったアプローチの強化だ。
同社の推計によると、20〜60代の約8000万人のうち、「飲めない人」と「飲めるけれど飲まない人」が約半数を占めている。特に20〜30代の若年層でその比率は高まる。松山専務は「今まで当社はお酒を飲む2000万人をターゲットとし、商品を開発してきた。これからは、普段お酒を飲まない人もお客さまと捉えることになるため、ターゲットの大幅な拡大が期待できる。『シーンで飲み分けたい』『少しだけ気分を上げたい』など、これまで満たされてこなかったニーズに応えていきたい」と説明した。
同社は20年12月に「スマドリ」を宣言し、その第1弾として3月から販売しているのが、アルコール度数0.5%のビールテイスト飲料「ビアリー」だ。3月30日に首都圏・関信越で先行発売し、6月29日に全国に展開した。また、第2弾として「ビアリー 香るクラフト」を6月29日から首都圏・関信越で先行販売し、9月から全国に展開する予定としている。
ビアリーを発売した3月30日から7月上旬までのビールテイスト飲料の推計販売規模金額は前年同期比で20.2%増加しており、そのうち9.0%をビアリーが占める。
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