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» 2021年07月15日 11時02分 公開

コマツ小川啓之社長に聞くDX戦略 世界の現場を自動化し、遠隔操作コマツ小川啓之社長の野望【前編】(1/5 ページ)

ICT(情報通信技術)を駆使して安全で生産性の高い施工を実現した、コマツの「スマートコンストラクション」。コマツはこれをさらに進化させた「デジタルトランスフォーメーション・スマートコンストラクション」を世界の建設、鉱山現場に導入しようとしている。小川啓之社長に経営の基本線である「DX戦略」の行方を聞いた。

[中西享, 今野大一,ITmedia]

 建設機械大手のコマツが、経済産業省と東京証券取引所が選ぶ「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020」のグランプリを受賞した。ICT(情報通信技術)を駆使して安全で生産性の高い施工を実現した、コマツの「スマートコンストラクション」は既によく知られている。

 同社ではこれをさらに進化させた「デジタルトランスフォーメーション・スマートコンストラクション(DXスマートコンストラクション)」を世界の建設、鉱山現場に導入しようとしている。小川啓之社長に経営の基本線である「DX戦略」の行方を聞いた。

小川啓之(おがわ ひろゆき) 1985年にコマツに入社、2010年に執行役員、14年にインドネシア総代表、18年に専務執行役員、19年4月から社長兼最高経営責任者(CEO)に就任。大阪府出身。59歳(以下、写真はコマツ提供)

どこが評価されたのか

――「DX銘柄2020」でグランプリを受賞しましたが、どこが評価されたと考えていますか。

 2015年からスマートコンストラクションのビジネスモデルを展開してきました。20年3月に建設機械の世界的な展示会「CONEXPO(コネスポ)」で、4つのIoTデバイスと8つのアプリケーションを使って、建設現場の全工程をデジタル化できるDXスマートコンストラクションのビジネスモデルを発表し、市場に導入してきました。

 15年から19年までのスマートコンストラクションは施工の各工程を部分的にデジタル化したもので、「縦のデジタル化」でした。一方、DXスマートコンストラクションは施工の全工程をデジタルでつなぐもので、「横のデジタル化」といえるものです。これにより実際の現場とデジタルの現場(デジタルツイン)を同期させながら施工をしていくことが可能になり、お客さまの現場において、より安全で生産性の高い施工に貢献できるようになったことが、グランプリ評価につながったのだと思います。

コマツの目指す建機のDX
縦のデジタル化
横のデジタル化
奥のデジタル化

 また、コマツは19年に3カ年の中期経営計画を発表し、この中で本業を通じたESG(環境、社会、企業統治)の課題解決と、収益向上の好循環による持続的な成長を掲げています。本業を通じたESG課題の解決については以前から努めており、スマートコンストラクション事業についても、25年くらいまでに日本の労働人口が約130万人減少する社会課題の解決を目的に取り組み始めたものです。このような背景から社会貢献という側面でも評価されたのではないでしょうか。

――スマートコンストラクションとDXスマートコンストラクションの違いは何でしょうか。

 コマツは13年からICT建機を市場に導入し、15年にスマートコンストラクションを導入しました。その後の導入事例は1万3000件を超え、現在世界で約9000台のICT建機が稼働しています。IoTデバイスの1つであるこのICT建機や最新のアプリケーションを使って、お客さまに最適な施工管理を提供できるのが「DXスマートコンストラクション」です。日本だけでなく、米国と、英国、ドイツ、フランス、デンマークの欧州4カ国で展開を始めています。

 また日本では16年度から、建設現場にICTを活用して生産効率を上げる「i-Construction」の導入が国土交通省により開始されました。コマツのスマートコンストラクションは「i-Construction」のプログラムをサポートしています。このため、「i- Construction」でもスマートコンストラクションは高いシェアを持っています。

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