――5G通信技術の普及に伴い建機の遠隔操作が可能になってきていますが、将来的な見通しは。
20年11月にNTTドコモと共同で、商用5Gによる鉱山向け大型ICTブルドーザーの遠隔操作の実証実験をし、国内で初めて成功しました。東京都に設置された遠隔操作卓にオペレーターが座り、約800キロ離れた大分県にあるブルドーザーからリアルタイムで送信される映像を見ながら遠隔操作で掘削を実現したのです。通信技術の進歩は遠隔操作にブレークスルーをもたらし、以前にみられた実際の操作までのタイムラグもなくなりました。
9月に開催する世界的な鉱山機械の展示会「MINEEXPO(マインエクスポ)」に、遠隔操作ができる超大型の700トンクラスの油圧ショベルを展示する予定です。豪州などの大規模鉱山現場ではダンプトラックの自動化、無人化は当たり前になっています。自動車でいえば自動運転の「レベル5」に相当します。
鉱山の採掘場所は、都市から離れた遠隔地やへき地が多いため、遠隔操作は有力なソリューションになると思います。豪州の鉄鉱石の鉱山会社では、西オーストラリアにあるパースから鉱山の施工管理を遠隔操作で実施しているほどです。
08年に商用導入を始めた自動運転のできる鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)を搭載したダンプトラックの導入数は、20年3月末までで221台、21年3月末までは352台です。21年度は確かなものを入れると500台は行くと思います。20年度に売れた352台の内訳は、AHSダンプトラックの新規導入と、レトロフィットでAHSを後付けしたダンプトラックはほぼ半々になっています。現在、大規模鉱山市場においては、大型ダンプトラックの商談の全てがAHSダンプトラックか、後付けできるダンプトラックです。
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