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コマツ小川啓之社長に聞くDX戦略 世界の現場を自動化し、遠隔操作コマツ小川啓之社長の野望【前編】(5/5 ページ)

» 2021年07月15日 11時02分 公開
[中西享, 今野大一ITmedia]
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6万人を率いるリーダーとして大切にしていること

――ダイバーシティーを推進する意味から、女性社員と女性管理職比率の増加が求められています。いかにして比率を増やそうと考えていますか。

 女性の新卒採用の比率は、以前は10%ほどでしたが、この数年は20%前後にまで増えてきています。ダイバーシティーが求められる世の中で、新卒採用のうち女性の採用比率を30%にしようと取り組んでいますが、機械メーカーという業種であり、特に技術系の採用はなかなか達成が難しい実情があります。また、建設機械の溶接や組立など、重量物を扱う製造現場も多く、採用比率を30%にして管理職も増やそうとすると、会社として、働きやすい環境をさらに整えていくことが重要だと思います。

 ダイバーシティーの本質はイノベーションだといわれています。同じ視点の人ばかりではイノベーションも起きません。ダイバーシティーは会社として推進していく必要があると考えています。

――コマツグループ6万人を率いるリーダーとして、日ごろから大切にしていることは何ですか。

 リーダーというよりもリーダーシップを大事にしています。統率力ではなく結束力であったり、個人の力量や知識ではなく、相互の責任や相手を尊敬したりすることが重要だと思います。「リーダーに三理あり」と言われますが、科学的に考える合理(論理)、バランス感覚が求められる道理、メンツを立てて個人的な判断をする情理の順番に考えるようにしています。

 座右の銘は「言行一致」です。言葉にしたことは実行しないといけないし、実行したことは説明責任が伴います。もう1つは禅由来の言葉で「脚下照顧」というのも頭の中に入れています。足元、基本をないがしろにしてはいけないという意味で、これは製造業では一番大事なことだと思います。

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