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アイリスオーヤマ家電開発部部長が語る「混成部隊」を戦力化して売上を伸ばす秘密 前職の“うっぷん”を商品開発にぶつけてもらう2020年の中途採用者は300人(1/3 ページ)

» 2020年12月08日 15時25分 公開
[中西享ITmedia]

 コロナ禍で売上を落とす企業が多い中にあって、売上増の快進撃を続けている家電、生活用品を製造販売するアイリスオーヤマ。それを支えているのが大手家電などから転職してきた中途入社組の人材だ。

 これまで東芝を早期退職して、2016年からアイリスに入社した武藤和浩テレビ事業部長「ナノエアーマスク」を開発した岸美加子ヘルスケア事業部長を取り上げてきた。両名ともアイリスという新天地で活躍している。

 彼らをやる気にさせる人材活用術やノウハウについて、前編では家電開発部の原英克・執行役員部長に、後編では中途採用を担当している佐藤祥平・人事部採用人材開発部リーダーに聞く。原英克・執行役員部長は中途技術者の採用を始めた当初から面談に関わり、その後、人材がどのように商品開発の分野で活躍してきたかを知るキーマンだ。

phot 原英克(はら・ひでかつ)1999年に入社、2014年家電開発部家電設計課マネージャー、18年1月から家電開発部執行役員部長。44歳

開発部隊の6割が中途入社

――19年度の家電部門の売上は約1000億円だが、20年度の見通しはどれくらいか。

 およそ1200億円を見込んでいるものの、11〜12月の数字の割合が大きいので、年末にかけて数字が上積みになる可能性がある。

――アイリスグループは22年度に全体で売上1兆円の目標を掲げている。それに対応した家電部門の売上はどれくらいになるのか。

 家電部門の売上目標の数字はまだないが、全体のペースの伸びに合わせて伸びていくと思う。家電は全体の伸びをけん引する分野に間違いなくなる。

――2019年末に発売した音声認識できるテレビ「LUCA」シリーズの売れ行きはどうか。今後はどのような家電の新商品を出していく計画なのか。

 販売台数は公表していないが、「LUCA」シリーズは順調に進んでいる。コロナ禍による巣ごもり需要もあって白物家電、清掃家電などが伸びている。家電分野でまだ当社が手をつけていない分野があるので、そういう分野に進出していきたい。テレワーク関連ではPCのモニターや座椅子、テーブルなどが好調だ。家具や家電関連商品が以前の2、3倍ペースで伸びている。

――家電製品の開発の中心となっている大阪R&Dセンターの人員はどのくらいいるのか。中途入社を積極的に採用する狙いは。

 現在開発者が約130人、このうち約6割が中途入社だ。今後も売上が増えるので、この人員も拡大していく方針だ。経験のある人材を採用することで、若い人材のキャリアアップにつながる。

――大手家電との大きな違いは何か。

 われわれはプロダクトアウト(自社独自技術の強みを深堀して勝負する戦略)やマーケットイン(市場の戦略にこたえる戦略)ではなくユーザーイン(ユーザーをとらまえた戦略)という顧客目線によって家電製品を開発している。だから大手との違いは、需要に見合ったスピード感を持ってタイムリーに市場に製品を供給しようとしている点ではないか。テレビやドラム式洗濯機のような大型商品は別だが、平均すると6〜8カ月で製品化できている。

phot 2019年末に発売した音声認識できるテレビ「LUCA」(アイリスオーヤマ提供)
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