三菱電機だけでなく、東芝も! 非常識すぎる不祥事の裏に見える「旧財閥」的組織風土の闇トップの交代で済む話ではない(2/4 ページ)

» 2021年07月27日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]

 二木会は、旧三井財閥が第2次大戦後に行われた財閥解体後も、引き続きグループの連携維持を目的として活動しているものであり、東芝が経営危機にあった折には同会の主要各社が支援を検討するなどの動きもありました。「東芝=三井グループ企業」としての存在感を世間に知らしめるに十分な出来事でもあり、三菱電機と東芝に共通した匂いはまさに、旧財閥系企業の組織風土であると思うところです。

 旧財閥グループは戦前において、国と太いパイプをもって産業の根幹を支えると同時に、優先的に国家的プロジェクトを割り振られるなどの特権的な地位を得ていました。中でも「三大財閥」と言われた三菱、三井、住友財閥は特に大きな力を持っていました。

 財閥自体は戦後の財閥解体によって消滅はしたものの、旧財閥グループとしてのつながりは厳然と存在しており、「組織の三菱」「人の三井」などと評されるその文化は構成企業の組織風土として脈々と受け継がれているといえます。すなわち旧財閥系大企業では、戦前に起源を有する企業文化がその組織風土をいまだに支配しているわけです。

 今回東芝が自社の窮地脱出を求め官僚に泣きついた件や、三菱電機の自社検査におごった長年の手抜きは、戦前来の国との近しい関係からくる特権階級的意識が作り出した「甘え」や「過信」であるともいえ、両社の長きにわたる歴史の根底に流れる財閥企業文化のなせる業であると思うのです。

東芝も実は財閥と関係あり(画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

 財閥系企業に限らず、悪しき組織風土に起因する企業問題や不祥事は、枚挙にいとまがありません。組織風土というものが特に厄介であるのは、一度根付いた組織風土がそう簡単には払拭(ふっしょく)できないからなのです。それどころか、例えば東芝では、今般の不祥事の主導者であった車谷前社長は財務再建を託された銀行出身の外様社長でありながら、いとも容易にその悪しき組織風土に飲み込まれた行動をとってしまってもいるわけです。長年にわたって培われ引き継がれてきた組織風土の闇は深く、恐ろしいほどの生命力を持っているといえるでしょう。

 一度根付いた組織風土が払拭しにくい理由は、どこにあるのでしょうか。

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