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「どうせ無理」と思い込むのではなく、「あたりまえ」を疑うことが大切な理由水曜インタビュー劇場(澤円公演)(5/5 ページ)

» 2021年07月28日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]
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「疑う」ことから始める

澤: 個人的な話になりますが、僕は物理的にも論理的にも混んでいるところが嫌いなんです。たくさんの人が集まっているところがあれば、「僕がいなくても大丈夫でしょ」と考えてしまう。逆に、少人数のところであれば、「自分が何らかの形で役に立つかも」と思ってしまう。

 このような話は大企業に就職すべきか、ベンチャー企業で働くべきかといった議論に近いかもしれません。大企業に就職して、大きな組織の一部としてパフォーマンスを発揮できる人がいますよね。仕組みの中で結果を出すことができたり、出世競争が得意だったり。僕はそういうタイプではなくて、大きな組織よりも小さなところのほうが合っている。マイクロソフトは巨大な会社ですが、僕が所属していた組織は小さなところが多かったんですよね。ちょっと変わったミッションがあったり、やり方がユニークだったり、チームのメンバーが個性的だったり。

 ここで大事なことは「会社の中のものさし」だけが正義だと思い込まず、「外のものさし」を持つこと。マーケットのなかで、自分はどんな場所にいるのか、自分はどんな価値を与えられるのか。「外のものさし」を持つことによって、いまの自分をより客観的にとらえることができる。そうすることで、自分の価値が見えてくると思うんですよね。

土肥: 日常生活を送るだけで、思い込んでいることがたくさんありそうですね。

澤: 「私には関係ないや」という思い込みによって、多くの人はいろんなものを除外しているのではないでしょうか。「私には関係ないや」と思ってしまえば、それらに関係する情報は入ってきません。拒否しているわけではないですが、関係ないと思い込むことによって、情報が入ってこなくなりますからね。つまり、自ら壁をつくってしまう。

 「いやいや、自分は関係ないと思っていない」という人もいますが、情報を受け入れるスキマがちょっとしか開いていなければ、その情報を全てだと思ってしまう。結果、さまざまな情報が断片的になってしまって、「私にはチャンスがない」「私にはいいことがなかなかない」などと思ってしまう。ただ、考えてみると、それは開けている窓が狭いだけの話なんですよね。

 また、思い込みがどんどん洗練化されていくと、「私にはこれしか見えない」といった状態になってしまう。年を重ねていくと、新しいことをやる勇気がどんどんなくなっていく。なぜなら、若い人から「そんなことも分からないのか」などと言われたくない、などと思い込んでいるから。結果、選択肢はたくさんあるのに、自身の可能性をどんどん狭めているのではないでしょうか。

 思い込みを捨てて、自分の頭で考えて、少しずつ行動を変えていく――。一歩踏み出すだけで、結果は変わってくるんですよね。そのためにも、世間で「あたりまえ」とされている常識を探すのではなく、「疑う」ことから始めることが重要になってくるのではないでしょうか。

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