顧客の異動への対策は、そもそも異動が起こっても問題が起きない状態を目指す予防策と、いざ異動が起こったときにどうするかという対処策の大きく2つに分類できる。さらに後者の対処策は、異動をどう検知するかという事前策の話と、異動が検知したあとどう解決するかという事後策に分かれる。
下記では、予防策について解説する。
チャンピオン顧客が異動しても、サービスの利用継続への影響が致命的でない状態になっていれば、いつ起こるか分からない異動の連絡におびえなくて済む。
そのような状態を作るためには、チャンピオン在籍時から積極的に、チャンピオン以外の社内ステークホルダーと関係性を作ることが近道になる。企業同士の関係性を、チャンピオン顧客という「1」人に頼るのではなく、複数の「N」人へと拡大することで、関係性は一気に強化される。
しかしこの関係性の拡大は言うは易し、行うは難しだ。
支援を担うカスタマーサクセス担当としては、やる気がありかつ気心のしれたチャンピオン顧客とだけ話し合っている方が負担は少ないし、顧客社内にしてもサービスの利用担当は1人に集約しておきたいというのが心情だ。普通の支援をしているだけでは関係性は広がることはない。
そのような状況を踏まえ、関係性の拡大に向けてはあえてチャンピオン以外との関係性を強化する機会を支援側から取りに行くことが重要だ。ターゲットとなる開拓レイヤーごとに例えば以下のように伝えることで、関係性強化につなげられる。
【現場ユーザー向け】
「実際に使っている皆さま向けに新機能のご説明をさせていただきつつ、不明点を直接解消する場を設けさせていただけないでしょうか?」
【決裁者向け】
「サービスを通じた費用対効果の試算と来年度以降の活用体制について弊社の責任者から直接ご報告したく、決裁者の方にもご同席いただけないでしょうか?」
【他部署のリーダー向け】
「現在ご活用いただいている皆さまの部署での成功事例をシェアしつつ、他部署での活用の可能性についてご提案する機会をいただけないでしょうか?」
異動はいつ訪れるか分からない。こういった関係性の拡大に導入初期から細かくトライし続け、徐々に信頼関係を広げておくのがポイントだ。
記事の後編では、実際に顧客が異動してしまった場合の対処策について、解説する。
株式会社ビービット カスタマーサクセス
京都大学経済学部を卒業後、ビービット入社。コンサルタントとして教育・メディア・金融など50以上の企業でUX改善・成果向上に従事。その後、UXコンサルティングプロジェクト責任者を経て2018年よりUXチームクラウド『USERGRAM』のカスタマーサクセス立ち上げ・運営に携わる。累計300社以上のUX企画推進・人材育成を支援し、2021年よりインサイドセールス責任者。
株式会社ビービット:https://www.bebit.co.jp/
Twitter:@wataridori89102
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