「3週間でピーク、1カ月でゼロ」中国の“社会実験”から見えるデルタ株の動き浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(1/5 ページ)

» 2021年08月26日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

 日本では緊急事態宣言が日常化してしまった。東京に至っては2021年の大半が緊急事態宣言下にあり、初めて宣言が出された20年春のような緊迫感は感じられない。

 対して、新型コロナウイルスの市中感染リスクがほとんどなくなっていた中国では、7月20日にロシアからデルタ株が流入し、言葉通りの「緊急事態」に入った。感染者は最初の3週間で30都市、約1200人に拡大したが、交通封鎖、共産党幹部の処分、通報制度、全市民PCR検査、濃厚接触者の再定義などあらゆる強硬策を発動し、8月22日、新規感染者は1カ月ぶりに0となった。

 コロナとの戦いは、各国にとって正解のない社会実験ともいえる。今回のデルタ株感染拡大局面で感染者が多かった南京市、揚州市(いずれも江蘇省)、張家界市(湖南省)の状況を分析すると、感染力の強さと同時に、「2週間我慢すれば収束する」事実も見える。

各国にとって正解のない社会実験ともいえる”コロナとの戦い”。中国でも30都市、約1200人にまで感染者を広げたデルタ株だが、流入から約1カ月の8月22日には新規感染者数がゼロとなった。その背景にある取り組みを紹介する
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