南京市は空港職員の感染判明後、付近の住民に外出しないように指示し、高速バスや国内便を運休し、地下鉄も一部運行を止めた。
だが、空港エリアに住む64歳女性は7月21日朝、外出制限を無視して隣接する揚州市にバスで移動し、姉(70歳)の家を訪れた。その後、2人は24日まで4日続けて同市内の雀荘に出かけた。女性は27日に発熱し揚州市の病院を受診。濃厚接触者だった姉とともに翌28日に感染が確認された。
2人が通い詰めていた雀荘は150卓と大規模で、高齢者の憩いの場になっていた。8月8日までに、64歳女性の濃厚接触者63人、姉の濃厚接触者17人が感染し、ほぼ全員が雀荘利用者だった。また、2人の濃厚接触者以外でも、雀荘利用者16人、さらにその家族に感染が広がり、一大クラスターが形成された。感染防止に協力しなかった64歳女性は、その後逮捕された。
揚州市の保健当局によると、8月21日までに同市で確認された感染者は568人。その4割が60歳以上だったこともあり、重症者も2ケタに上った。また、同市ではPCR検査会場でも約40人のクラスターが発生した。感染対策が不十分で、肺炎の症状が出ている患者から近くにいる人に広がったという。
南京空港でのクラスター発生を受け、中国東北部にある大連市(遼寧省)は同空港からのフライト利用者を洗い出し、7月26日に3人の感染を確認した。
この3人は7月17日に大連空港を出発してトランジットのため南京空港に2時間滞在し、映画『アバター』のモデルにもなった世界遺産「武陵源」のある張家界市(湖南省)に到着。1週間観光していたことが判明した。
その後、張家界市では8月中旬までに72人の感染が判明した。旅行者を通じて感染は北京市や成都市などにも広がった。
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