「さあ、つくるぞー」と決意するものの、開発は難航した。トイレの扉にセンサーを設置するといっても、誰も使っていないときには開くように設計されている扉もあれば、誰も使っていないときもきちんと閉まる扉もあれば、多目的トイレなどで使われている引き戸もある。大きく分けてこの3つのタイプに適したセンサーを開発するのに時間を要するが、人感センサーなどを組み合わせることでプロダクトを完成させたのだ。
話は前後するが、商品開発に着手する前、河野さんの耳にこのような声が届いた。「スマホの電波を妨害するようなモノを設置すれば、長時間滞在する人が減るのでは?」と。しかし、こうした仕組みを導入して、誰が喜ぶのだろうか。「嫌なことをされて行動を変えるよりも、優しいアプローチがあるのではないか」と河野さんは考えて、個室内に情報を表示する方法を生み出したのだ。
優しいアプローチといえるかどうか分からないが、抑止力を狙った方法として、ステッカーがある。個室の壁などに「トイレでの長時間使用禁止」などと書かれたステッカーを見たことはないだろうか。
「うーん、ちょっと思い出せないなあ」という人もいるだろうが、それは仕方がないのかもしれない。新型コロナ感染防止のために、政府が「不要不急の外出は控えてください」を何度も何度も言っているうちに“慣れ”が生じているように、こうしたステッカーも何度も何度も見ているうちに、効力が薄れていったのかもしれない。
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日本が誇る「トイレ」は人類を救う、本当かCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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