マーケティング・シンカ論

“報われない苦労”の元凶 インサイドセールスこそ知るべき「ホリゾンタルとバーティカル」ヴィジュアル系が語る!会社を強くするインサイドセールス(9)(1/3 ページ)

» 2021年09月08日 07時00分 公開
[堤貴宏ITmedia]

 「他社で成功した施策が自社ではうまく成果が出ない」「本を参考にした組織作りが失敗してしまった」──インサイドセールスにかかわる上で、このような失敗を経験した人は少なくないのではないでしょうか。

連載:ヴィジュアル系が語る!会社を強くするインサイドセールス

SNSマーケティング支援を行うホットリンク(東京都千代田区)のインサイドセールス担当として日々業務に努める傍ら、「ヴィジュアル系インサイドセールス」として情報発信を行う堤貴宏さんが、インサイドセールスについて愛をこめてお届けする連載です。インサイドセールス部の立ち上げ経験や、セカンドキャリアとしてインサイドセールスを選んだ経験を生かして解説します。

 みなさま、こんにちは。SNSマーケティング支援を行うホットリンクでインサイドセールスを担当している、堤です。私は13年間ヴィジュアル系バンドのギタリストとして活動し、引退後にインサイドセールス職に従事しています。

 今回は、「自社に合ったインサイドセールス」を考えるうえで欠かせない、ホリゾンタル/バーティカルという区分けを解説し、どのようにインサイドセールスと向き合うべきかのヒントを紹介いたします。

ホリゾンタル、バーティカルとは?

 特にSaaSを区分けする際、「ホリゾンタル=業界横断型」「バーティカル=業界特化型」と二分して説明することがあります。

 ホリゾンタルSaaSは例えば、会計クラウドサービスや人事クラウドサービスといった、業界問わず利用可能なサービスです。一方バーティカルSaaSは、例えば医療機関向けのクラウド診療システムや建築会社向けの図面の共有サービスといった、ある業界限定で利用するサービスです。

 もちろん、どちらが良い悪いという話ではありません。インサイドセールスを行うにあたり、自社が提供するものはホリゾンタル、バーティカルどちらに該当しているのかを正しく把握しておくことが大切です。

 これはSaaSに限らず、多くの製品やサービスに当てはまる考え方だと思います。

これだけ違う、ホリゾンタルとバーティカル

 ホリゾンタル/バーティカルという区分けは、近年徐々に認知度を高めています。マーケティングに関しては、両者を切り分けて考えることが浸透しているように思いますが、ことインサイドセールスとなると、なぜか混同しているケースを多々見かけます。

 インサイドセールスはまだまだ歴史が浅いジャンルのためでしょうか。大きな前提を見落としていると感じます。ホリゾンタルとバーティカルで同じやり方をしていては、うまくいかないことがほとんどだからです。

 ホリゾンタルは業界問わず利用可能なサービスなので、営業対象となる企業の社数や担当者のリード数は当然多くなります。

 大量のリードをSFA、CRMで情報管理し、MAでメールの一斉配信を行いながら、反応に合わせて最適なコンタクトをしていくという、インサイドセールスとしてはセオリー通りのやり方で効果が出しやすいです。

 一方、バーティカルの場合は、業界や職種特化型のサービスなので、そもそもの営業対象の社数やリード数はかなり絞られます。

 そうなると、一斉メール配信はある程度多くのリード数がなければあまり有効ではないですし、テンプレートのようなトークスクリプトで機械的に電話ばかりしていて、もしもブランド価値を損なってしまった場合は、少ない母数の中の貴重な1リードを失ってしまい、大きなダメージを負うことになりかねません。

 つまり自社サービスがバーティカルに該当するのであれば、より個別的なアプローチが求められます。

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