このような状況の中、ネットプロテクションズは年間流通総額3200億円を誇るNP後払いに加え、17年から開始した「atone」を強化する。買い物の都度、紙の請求書が届くNP後払いに対し、atoneは会員登録を前提とし、利用額をまとめて月に1回支払うようにしたサービスだ。コンビニ払いのほか、銀行口座振替にも対応し、カードはないが実質的にクレジットカードのように利用できる。
atoneでは、NP後払いと共通のポイントシステム「NPポイントクラブ」の会員基盤をatoneと統合し、490万人の会員がatoneに新たに加わることになる。また、店舗向けにはAPI接続を新たに提供するほか、NP後払いとインタフェースを統合することで、一度の開発で両サービスが利用できるようにもする。
これらによって、現在170億円程度の年間流通総額であるatoneの普及を促進する狙いだ。
NP後払いとatoneの2つのサービスを有するネットプロテクションズは、会員登録不要で初回の入り口になりやすいNP後払いと、登録によってクレジットカード的に使えるatoneの両輪でBNPLを推進する。ポイントの統合によって、NP後払いで貯まったポイントがatoneの代金に充当できるようになることも、シナジーを生むと見ているBNPLサービスは、フィンテックの中でも急速に伸びている市場の一つであり、9月8日にはアカウント数600万を超えるBNPL大手のペイディを、米決済大手のペイパルが買収するなど、業界再編も進みつつある。また、メルペイやファミペイも自社の決済サービスにBNPL機能を組み込むなど、クレジットカードに代わる決済手段として存在感が高まっている。
コスト面ではなく、「不安」に対応することで伸びてきた日本のBNPL市場。長谷川氏は、今後クレジットカードのリテラシーが浸透してきても、「クレジットカードが持つ機能上の制約は変わらない。不明瞭さは残り続ける。慣れてきたとしても、不信感、不安感は残り続ける。クレジットカードに最終的に移っていくとは考えていない」と、BNPL市場の伸びに自信を見せた。
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