内閣官房の国際博覧会推進本部が公開したインフラ整備計画(案)によると、来場者向けの交通機関は「鉄道南ルート」「水上交通ネットワーク」「周辺道路の立体交差化と橋の拡幅」が盛り込まれた。電車、船、バスである、マイカーに関しては、夢洲への乗り入れは禁止。万博会場から半径15キロメートル地点に駐車場を確保し、バスに乗り換えてもらう。
「鉄道南ルート」は大阪メトロ中央線を咲洲(さきしま)のコスモスクエアから延伸し、夢洲に駅を建設する。この駅に隣接して東エントランス広場が設置され、万博会場のメインゲートとなる。
「鉄道南ルート」というからには「鉄道北ルート」もありそうだけど、具体化していない。構想としては3つのルートがあって、1つ目は大阪メトロ中央線をさらに北へ延伸して舞洲(まいしま)、さらにはユニバーサルスタジオ・ジャパンの北側、新桜島駅に至る。2つ目はJR桜島線を延伸し、舞洲経由で夢洲に至る路線。3つ目は京阪電鉄中之島線を延伸し、西九条を経由して、大阪メトロ中央線が目指す新桜島駅に至る。
JR桜島線の延伸について、JR西日本は、万博開催後の夢洲でIR誘致が決まれば検討する考えだ。京阪電鉄中之島線延伸についても、京阪電鉄は自社だけの整備では負担が大きく、自治体や国の支援を求めたい。中之島線はそもそも、中之島高速鉄道が保有し、京阪電鉄が運行する上下分離の枠組みだ。中之島高速鉄道は京阪ホールディングスと大阪市などが出資する第三セクターで、延伸に関しては大阪市の意向も影響する。
中之島線は地下鉄なにわ筋線の建設に呼応して、中之島駅で接続するために作られた路線である。なにわ筋線が開通すれば、京阪電鉄沿線から関西国際空港、大阪駅(北梅田駅)、新大阪駅へアクセスしやすくなるからだ。
夢洲に向かって南北から鉄道路線が結集する構想の発端は、大阪2008オリンピック・パラリンピックの誘致だ。ユニバーサルスタジオ・ジャパンとオリンピック・パラリンピックがあれば公共交通機関の需要はある。しかし01年に2008夏季オリンピック・パラリンピックは北京で開催すると決まったため、夢洲への鉄道計画はほぼ白紙になった。
ただし、大阪メトロ中央線の延伸については、大阪市交通局時代に道路用と鉄道用の海底トンネルを一緒に作っていた。25年万博開催に間に合う理由は、このトンネルを使うからだ。
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