クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ガソリンには、なぜハイオクとレギュラーがある?高根英幸 「クルマのミライ」(1/4 ページ)

» 2021年09月27日 10時35分 公開
[高根英幸ITmedia]

 カーライフにおける話題として相変わらず多いのが、誤った種類の燃料を入れてしまう誤給油だ。セルフ給油式のガソリンスタンドが圧倒的になってから随分と経過しているにもかかわらず、である。

 JAFの調査によれば、全国で1カ月に300件前後も、誤給油による相談が寄せられるそうだ。ガソリンスタンドの現場で対応できているモノを含めれば、実際には誤給油はその何倍かになる可能性がある。

 誤給油の原因は、レンタカーや旅先など、給油環境がいつもと違うこともあるだろう。クルマを買い替えたばかりだったり、うっかりミスだったりと、理由は人それぞれであろう。

 ガソリン車に軽油を入れて走行してしまうと不完全燃焼が起こり、燃料系や排気系を洗浄するなどの対応が必要になる。ディーゼル車にガソリンを入れてしまった場合は、もっと深刻だ。ガソリンは軽油と比べて潤滑性がないので、軽油によって潤滑されている燃料ポンプやインジェクターがダメージを受ける。

 しかしレギュラーガソリン仕様車にハイオクガソリンを入れてしまったり、ハイオク仕様車にレギュラーを給油してしまったりした場合は、まったくダメージはない。むしろレギュラー仕様にハイオクを入れると、カーボンの堆積によって圧縮比が上昇してしまっているエンジンにとっては、ノッキングの心配もなく、エンジン内部のカーボンやデポジット(未燃焼ガスの堆積物)を分解、清浄してくれる。

 では、どうしてガソリンにはハイオクとレギュラーが用意されているのか、ごぞん知だろうか?

欧州ではレギュラーガソリンが95オクタンと日本より高く、さらに98オクタンのプレミアムと呼ばれるハイオクと、100オクタンのスーパープラスと3種類もガソリンが用意されている。軽油とは誤給油しないようノズルの太さを変えているが、ディーゼル車に細いガソリンのノズルは入ってしまうため、誤給油は少なくないようだ
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