日本には昔から「質屋」という業態があります。700年以上も前の鎌倉時代から存在してたようです。江戸時代には、世界でもトップクラスの循環型社会が作られ、さまざまなものがリユース、リサイクルされていました。
かつては、中古品のことを「お古」と呼んだ時代もありました。また、中古市場のプレーヤーの多くはパパママ・ストアが多く、家業の域を出ない商売が続きました。
しかし、バブルが崩壊し、従来の小売業が弱体化すると共に世の中の物余りが本格化。余った商品を買い取り、販売するリサイクル企業が急増したのです。これは日本の消費者の価値観変化、そして小売業の業態変遷の中で必然的に生まれた流れです。
日本で中古市場が本格的に成長を始めたのは2000年前後です。全国に総合リサイクルショップが続々とオープンし、店舗が拡大していきました。筆者がリサイクルショップ開発などに何度か携わったのはこの頃です。その後、11年の東日本大震災によって大きなスペンドシフトが起こりました。また、15年の国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」として、30年までに達成を目指す17の目標が決まりました(SDGs)。これがリユースを世界的に後押しする大きなきっかけとなり、リユース市場が世界的に注目されるようになったのです。
リユース市場に代表される“Reビジネス”はここから本格的に成長し、30年頃には従来の小売業を凌ぐほどの立場になっていくかもしれません。それほど現代の日本には物があふれています。タンス在庫となってしまった過去の遺物に光を当てて、価値ある物として再生し、世の中に循環させるという究極の仕組み。物余りニッポンの救世主がリユース市場なのです。
では、中古市場において注目のカテゴリーはどこなのか。カテゴリー別の推移を見てみます。
20年と18年で比較すると、伸び率が高く、構成比も高いリユースのカテゴリーは「衣類・服飾系」「ブランド品」「家具・家電」がトップ3です。20年前からこの傾向は変わっていません。洋服やブランドバッグが世の中には余っていて、これらが中心になって中古市場を作り上げてきました。最近では、ガンプラ人気から玩具・模型が伸びています。また、コロナ禍でのアウトドア・キャンプブームも相まってスポーツ・レジャー用品の伸びも目立ちます。
リユース市場は年々拡大しているだけでなく、その商品カテゴリーも広がっているのです。
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