ゲオホールディングスの22年3月期第1四半期連結業績を見ると、リユース市場拡大の背景がさらによく分かります。
コロナショックの影響で21年4〜6月の第1四半期はゲオ全体では売り上げを落としています。しかし、リユース系部門の売り上げは前年比146.2%と大きく伸びています。売上総利益も116億円と全カテゴリーでダントツの稼ぎ頭となっています。卸売り上げの増加により粗利率が減少したとはいえ、リユース系の粗利率は49.6%です。
リユースビジネスの成長可能性は、この粗利率の高さにあります。
ユニクロが死に物狂いで原価を低減させ、無駄のない物づくりを進めても粗利率は50.6%(21年8月期第3四半期連結業績)です。
新品をゼロから作って日本のアパレル小売業でダントツの粗利率を実現しているユニクロと、世の中に余っている商品を買い取って再販しているセカンドストリートの粗利率がほぼ同じなのです。
物づくりのリスクを負わずに、世の中にすでにある物を再利用して収益をあげることができるのならば、地球環境にも優しいし、何より無駄がありません。物を長く使ってもらえば商品の寿命が延びますし、サステナブル経営につながっていきます。だからこそ、これからの時代の方がリユースビジネスの可能性が高いと私は考えているのです。
今後、新品を中心に販売する小売業から、リユースを中心とした中古品市場が小売りの中心になるといっても過言ではない理由がここにあります。食品業界もフードロス削減に向けて本格的に動き出し、廃棄前の食品のアウトレット販売やフードロス削減のためのアプリなども続々とローンチされています。日本のリユース市場はこれからが本当の成長期といえるのです。
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。
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