サントリーの既存商品には、スタンダード価格帯の「ザ・モルツ」、そしてプレミアムブームの火付け役となった「ザ・プレミアム・モルツ」という2枚看板がある。
業務店での消費がメインの「ザ・モルツ」と、家庭用市場で奮戦する「ザ・プレミアム・モルツ」。そこに今回、パーフェクトサントリービールが加わった。
「ただ、お客さまのなかではすでにすみ分けができています。もともと『今日はいいことがあった』『今日はちょっと奮発したい』というシーンで飲まれるのがザ・プレミアム・モルツです。
パーフェクトサントリービールの場合は、糖質ゼロだから、気兼ねなく、デイリー飲みできる新たな定番として受け入れられています」(稲垣氏)
パーフェクトサントリービールの缶を見てみると、真ん中に赤地で「糖質0」とアピールしつつも、紺と金を主体にした、ザ・プレミアム・モルツを連想させる色遣いになっている。
ザ・プレミアム・モルツは金主体、パーフェクトサントリービールは紺主体という違いはあるが、その重厚なデザインは機能系でありながら、本格的なビールとしての品格を打ち出そうとしてのものだろう。
だが、そのデザイン以上に、パーフェクトという単語に目を引かれたユーザーも少なくないのではないか。社名にパーフェクトという単語をくっつけた商品は、ビールに限らず、なかなか目にする機会がない。
この商品名は、発売前、サントリー社内でも若干の物議を醸したという。
「商品名については社内公募をかけたり、意見を聞いたりする機会を設けていますが、今回、『味わいがパーフェクトってこと? それってどうなの?』という声も出ました。味わいがパーフェクトかどうかを決めるのはお客さまなので、その意見はもっともです。
ただ、この商品の何が『パーフェクト』かというと、ビールど真ん中の味わいと、糖質ゼロという機能を両立させていること。
『この商品で新しいビールの時代を作っていきたいという思いを込めての命名です』と説明すると、『そういうことなら』と理解してもらえました」(稲垣氏)
後編では多様化するユーザーの好みに対して、サントリーがどのように受け止め、どのような施策を打っているのかに迫る
唐仁原 俊博(とうじんばら・としひろ)
ビジネス系フリーライターの活動と並行し、総務省「地域おこし協力隊」制度を利用して、人口5300の岩手県西和賀町役場に勤務。さらに休耕地活用のためヤギの飼育を開始。ライター、地域おこし協力隊、ヤギ飼いの三足のわらじに加え、日本初「ヤギがいるコワーキングスペース運営」という四足目を準備中。
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