クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

トヨタSUV陣の最後の駒 玄人っぽいクルマ作りのカローラクロス池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/6 ページ)

» 2021年10月04日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]
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トヨタSUV陣の最後の駒

 今回文頭からこんなに呻吟(しんぎん)しているのは、先にそういうポジションを決めて評価したら書き手の負けだと思うからだ。ありのままのカローラクロスは、結局どうなんだといわれると、総合力がスゴいということに尽きる。特にプロの目で見るといろいろとんでもない。化け物ともいえる。

開口部が大きく取られたテールゲートには、ハンズフリーの開閉機構を備える

 だから、クソ真面目な話を淡々と書かなくてはならない。ところがそれをやろうとすると、文字数がいくらあっても足りない。どうにかしてエッセンスだけを抜き出さないといけない。その大変な作業をこれからやってみる。まずはクルマの立ち位置だ。

 TNGA世代プラットフォームは、最小クラスにダイハツのDNGAがあり、一段階ずつ、トヨタのGA-B、GA-C、GA-Kまでが基本のセグメント分けになっている。そこにそれぞれ売れるSUVが用意されている形だ。Aセグはダイハツ・ロッキーの兄弟車であるライズ、BセグはヤリスのSUVであるヤリスクロス。CセグのカローラベースにはC-HRと、今回のカローラクロスの2台があって、その上にDセグ、カムリのプラットフォームを使うRAV4とハリアーが位置する。

 これでトヨタのSUVの陣形は完成を見たといっていい。トップエンドには、ランクルもあるけれど、あれは超本格的なラダーフレームを与えられた沙漠とガレ場の王者であり、性能的に過剰過ぎる。サイズ的に見ても普通の人が日常の足で買うのはまあDセグまでだろう。

 このラインアップの中で、家族のクルマとして選ぶならば、カローラクロスにはサイズ感的に素晴らしくジャストな感じがある。パワートレインもTNGA世代のハイブリッドでちゃんとしていて、ハンドリングもレベルが高い。トヨタの愚直さがバリバリにある。

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